「 光のない。~ 柳瀬 安里 個展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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2017.03.07~03.12【 KUNST ARZT 】

昨年の京都造形芸術大学の卒業制作で強烈に印象に残った作品が、
柳瀬さんの映像作品「線を引く(複雑かつ曖昧な世界と出会うための実践)」でした。
国会前の安保法制反対のデモ(集会)の中で、
多くの人々の中を縫うように腰をかがめてひたすらチョークで線を描き続けるというもの。

今回はオーストリアの作家、エルフリーデ・イェリネクによる戯曲「光のない。」を
沖縄県高江のヘリパッド建設工事ゲート前を暗唱しながら歩くというドキュメントです。
卒制もこの初個展での作品も体制へのアンチテーゼ“のように見える”行為を通じて、
ある種の“無言のシュプレヒコール”を訴求しているかのように見え、
また理解しようと鑑賞されますが、
これは柳瀬さん自身を「国家」と「人民」との間、
つまりAという大き過ぎて見えにくい抽象的な力=無定形と
それを阻止しようとするBという具体的な人間=定形との摩擦熱の中に置いて、
柳瀬さんがこの長編テキストに見いだした
「対話として成立しない会話」というニュアンスを
劇的に再現しているのではないか、ということ(あくまで僕の主観です)です。
それこそが国家と主権在民との乖離を表しているのではないか、と。
個展でもいろいろとお話ししましたが、
当の柳瀬さん自身の「やってみなければわからなかったこと」が
様々な多角的側面をもってフィードバックされた様子で、
そこには作家としての表現行為に常につきまとう戸惑いや非力さ、
何が現実で、何が伝わっているのか、
主体としての作家と作品化した瞬間の客観との揺れ、
危うさを確かめているような、そんな感じでした。

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「 延山 菜摘 個展 ~ ツブノウミ 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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2017.03.07~03.12【 ギャラリー同時代 】

ビルの入り口から見える真っ赤な色に呼ばれるように入っていくと、
グループ展と見まごう種々のテキスタイル作品。
これ全部お一人のもの。
植物を描いたペン画、シルクスクリーンの帯状のタペストリーなど、
この広いスペースに負けない力作揃いです。
先の真っ赤な造形物は近づいてみると
無数のツブツブビーズとポリエステルオーガンジーとの絶妙なマッチングで、
かなりな手数を伺わせるもの。
特徴的な花のモチーフがカラフルに施されたタペストリーも、
そのまま着物柄としていけそうです。
大阪成蹊大学の芸術学部テキスタイル表現領域出身の延山さん、
3回目の個展だそうです。で、
3月に30歳になられるという3づくしな展覧会です。

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Category : 現代美術シッタカぶり
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「 大地生まれ - Earth Born ~ マクリン・ニンニ 陶展 」
2017.03.07~03.12【 gallery MARONIE 4F 】

DMを見た時の、なんとフェミニンな、という印象は作品を見る限り、
良い意味で裏切られました。
ニンニさんはフォンランド生まれでもう6年、
つまり京都精華大学 → 大学院という経過を辿ってらっしゃる作家さんで
日本語の堪能なことにも驚き。
作品はまるで、岩の樹から精霊となった
動物や植物が立ち上がってきたかのような(あくまで印象として)
北欧らしきモチーフ
(しかしこれも作家がフィンランド人であるという先入感に頼ってしまっているところ多し…)が
魅力的な陶芸作品です。
よく木彫で、ザクッとしたノミ跡と、
手を入れた部分の絶妙な対比を感じさせる作品と共通した
作家の造形に対する創意を感じます。
ほの暗い会場に置かれた作品がライティングによってより
“岩肌”のコントラストを際立たせていました。
今後は母国で陶芸家として活動するんでしょうか。

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「 rhizome ~ 西條 茜 + 嶋 春香 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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2017.02.18~03.05【 京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA 】

別々に拝見した作家さんの二人展。
西條さんも嶋さんも所見は2015年でした。
西條さんの“つくりかた=表し方”のスタンスというのは
初めて見た時の衝撃そのままに「着想の妙」に痛く感心させられました。
嶋さんはアルトテックの展示で見て以来、
作品そのもののキレの良さと色彩感覚に、これもまた感服。
この二人展の会場をひと目みただけでお二人のマッチングが成功したことがわかりました。
もう作品も会場も一定のテンション、温度にあって、
まず何よりも作品群が“ばらけて”ないこと、
それぞれのテーマの中にある「道具」という共通項が見事に相乗的に働いていることです。
西條さんは長崎でのフィールドワーク(西條さんは全てそこから始めます)を通して
実はキリシタンは蘭方医学を学べなかったという事実から、
いわば演劇的に「キリシタンの医者」を作り上げ、
彼にまつわるものをインスタレーションとして提示してみせます。
一方、嶋さんは徹底的に資料に突っ込んで「史実」という
手の届かない時間、資料から静かに放たれる
様々な背景=成り立ちや意味=理由と色彩や質感、を
医者が言うところの触診に近い手応えで、カンバスに「再現」してみせます。
まるで迷宮の博物史とでも言うような
不思議な臨場感いっぱいの素晴らしい展示でした。

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「 淀スタジオ + studio HAIDENBAN 」③

Category : 現代美術シッタカぶり
【 Gallery View vol. 978 】

◆井上 大輔 ◆森 彩華 ◆石本 智美
2017.02.25~26、3/4~5【 studio HAIDENBAN 】

レビュー第三弾。

井上1

井上2

井上さんは「時間性を伴う不定形で流動的な素材」を纏わせた
オブジェが特徴的な作家さん。
2014年、京都芸術センターでの
「イマジネーション・スーパーハイウェイ」が所見だったと記憶。
あえて素材は言いませんが、
この表情たるや、堆積と時間、いわば逆回しのフィルムのような原形への想像力、
と強烈な印象を残す作品です。
今、僕が制作しているものに勝手にリンクさせてシンパシーを感じます。

森1

森2

ウルトラファクトリーのテクニカルスタッフでもあった森さんは
虹さんでの個展が最初かな。
その時はとても観念的な作品と理解し、
こういうのは受け入れられるのに時間がかかるかなぁと感じたのですが、
今回のを見て正直驚きました。
なんだか一皮むけたような抜けの良さ。
造形への転換力と言うんでしょうか、良いです。

石本1

石本2

石本さんの作品は壁面そのものを大きな支持体と捉えたような、
いわゆる遠目に見て、
全体の関係性や構成を楽しむようなインスタレーションの要素も強く反映されています。
一見、誰かのメモや気まぐれなパーツが、
実はかなり入念な配置感覚とそれぞれの要素の応酬、反応、
そして鑑賞者が“視ている現在=現実”そのものを
強く認識させる装置となっていることに気がつくのではないでしょうか。
次回で最終です。






















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