烏丸ストロークロック「 まほろばの景 」

Category : パフォーマンス見聞
まほろば

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2018.02.09〜02.11
【 ロームシアター京都 ノースホール 】
烏丸ストロークロック
作・演出:柳沼昭徳
音楽・演奏:中川裕貴
出演:坂本麻紀/澤雅展/角谷明子
小菅紘史(第七劇場)
小濱昭博(劇団 短距離男道ミサイル)
松尾恵美

鼻孔の奥が痛くなったよ
終った後で出演者に告げると
「どこで?」と。
いや、多分、これは
筋立てや展開ではなくて
この演劇空間に居ること
そのものに
“叶わぬカタルシス”を
確信的に得たから
かな、と。

アフタートークで
ヤギーさんは言う。
「いい評価の作品を
いろんなとこで
同じように公演してたら
もっといいのかも
しれないけど
何というか、
アタマん中で
どんどん新しい
アプローチが
出て来て
今、完成したものは
僕にとって
もう古くなる…」

ヤギーさんこと
柳沼さんの
この言葉こそ
真骨頂。
だから僕の感涙も
そこにあると
気付く。

「この作品は
点と点を
無理矢理結んで
“物語”にしないことを
考えた。
だからもしかしたら
難しい演劇に
なってしまったかも
知れない。
でも嘘は
入れたくなかった」

烏丸の演劇を見る時
すこしだけ、そう、
シャツの一番上の
ボタンを閉めてから
観よう、と
いつも思ってた。
時々観客の感覚を
見事にすくい投げ
するようなことを
なさるからね、
この人は。
でも今回、
気がついたら
そのボタンは
見事に弾け
どこへ飛んだかも
わからない。

いくつもの
キーワードは
あるにせよ
やはりヤギーさんの
視座の深さや
“検証力”や
不確実で
不穏な時代の中で
“揺らぐ精神”によって
弱体化された人格の
細やかな
“事情”というものを
舞台という
火鉢の上で
炙り出している、
そんな気がする。


















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「 Every day is a new beginning 〜 地球の崩壊と再生の物語 」

Category : パフォーマンス見聞
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2018.01.19・01.20
【 BLACK CHAMBER(名村造船旧大阪工場跡) 】

演出:前田英一
振付:合田有紀/野村香子
音楽:ヤニック・パジェ
出演:合田有紀/野村香子/橋本幸士/前田英一
ピアノ・打楽器:ヤニック・パジェ
アコーディオン・シンセ:ryotaro
脚本・ドラマトゥルク:出口雨

全然関係ないのにあらすじ読んでたら
井上陽水の「傘がない」を思い浮かべた。
明日で地球は宇宙の藻くずになるというのに
私は相変わらず忙しい。
忙しさが今日と明日を繋げているような切ない錯覚。
でも技術の進化も革新もその中にあったことは事実。
そして芸術という痕跡も藻くずの残滓の中に漂っている。
ここに救済はあるのか、はたまた永遠に流浪するのか。
テレーズ(たち)の憂鬱がその予感なのか…

さて、始まりは若き物理学者の黒板への
いつまでも続く打音、
三人のダンサーの間合いと息づかい、
哀しいくらいにコミカルで実に切ない所作、
通低音のシンセ、心臓にコダマするパーカッション、
記されることと消されることの間で
空を舞うチョークのスモーク(!)が
薄闇に浮かぶ…

そしてこの二階をぶち抜いた稀有なまでのロケーション。
久しぶりに勘ぐらずに深読みせずに面白くダンスと
それにまつわるパフォーマンスに心踊りました。
理知的で世俗的でいわゆる“浮世”を感じて
不思議と愛おしくなる、そんな舞台 ≒ 試演でした。
完売な二日ということで、
ここまで(北加賀屋は度々訪れる場所)来た甲斐ありの
素敵なひととき。
ありがとうございました。

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サファリ・P 「 財産没収 」

Category : パフォーマンス見聞
作:テネシー・ウィリアムズ
演出:山口茜
出演:高杉征司/松本成弘/松尾恵美

2017.08.17~08.20 全8ステージ【 アトリエ劇研 】

普通アフタートークというとなんとなくモゴモゴした感じで終るのですが、この山口さん、高杉さんのお話しは実に興味深く、できればもう一度見たいと思わせる裏話やエピソードが質疑応答の中で満載でした。上演すれば20分ほどのお話しを解体しつつ、原作者の分身が多く登場するテネシー・ウィリアムズ独特の戯曲を彼そのものがそこに“存在し”彼がその台詞を語るように、再構築し、しかも一字一句、台本通りに進行していきます。財産没収を選んだ理由、初演は原作通り二人だったこと、二人のダンサーの起用(当初は全く踊り無しだったとか…)、そして舞台美術にまでも、この材をどう解釈し、独自な(でありながら的を得た)アプローチができないものかというプレゼンテーションへの向き合い方がハンパない感じを強く受けました。高杉さんって俗な言い方でホント失礼ですが、アタマの良い、方、です。お二人の濃密な制作へのスタンスが素晴らしい舞台でした。そしてそして中でも印象的だったのは松尾さんの所作の美しさ! 動きのタイミングと音と照明のシンクロ、素敵でした。

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「 T/IT:不寛容について 」

Category : パフォーマンス見聞
不寛容

2017.03.10~03.12【 京都芸術センター 講堂 】

Monochrome Circus+Kinsei R&D
出演:田中遊 (正直者の会)/長良将史
森裕子/合田有紀/野村香子/小倉笑
演出:坂本公成 ・藤本隆行

【許し】と【赦し】、この言葉のそれぞれの程度やその質、
使い道についてここで言うつもりはありませんが、
坂本さんと藤本さんがこの公演を作ろうと考えていた頃の不穏な世相から、
さらに異様とも思える状況が出来上がってしまった昨今、
寛容であることを或る種の道徳観のもとで学び、
性善説のもとで受け入れてきたことが音を立てて崩れていくような気になります。
ダンスだけでは表現しきれない、
この「人の機微」に重い意味を持つ「不寛容さ」は
田中遊さんを狂言回しのような(僕には神に見えましたが)役割に置いたことに
成功要因があると思っています。
インタビューでも言われていますが、
演技的なことはほぼ田中さんに任せたということにも
非常にタイトでソリッドな作用をもたらしたと思います。
会場を使い切る、といったダンスの演出は抑制されつつも制御不可能な動きを反映させ、
何よりも膨大な情報量で観客をこれでもかというほどに揺さぶります。
巧みに計算されコントロールされた映像・音楽と相乗するダンス、
そして、すっかり小倉笑さんに魅了されてしまった自分がいました。
強力なメンツが作った強烈なエンターテイメントは、
舞台が終了した瞬間から、じわじわと引き戻されていく現実感へのプロセス、
余韻を通じて「世界のありさま」を考える機会を
改めて与えてくれたのだと痛感するのです。











烏丸ストロークロック × 庭ヶ月 共同連作「 凪の砦 」

Category : パフォーマンス見聞
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2016.02.09〜02.12【 アトリエ劇研 】

作・演出:柳沼 昭徳 音楽・演奏:山崎昭典
出演:阪本 麻紀/生坂 美由紀/岡村 里香/角谷 明子/澤 雅展
図師 久美子/長谷川 直紀/柳 泰葉/西村 貴治/たなべ 勝也

まずはヤギーさんこと柳沼さんの京都市芸術新人賞受賞と
主演の阪本さんの関西現代演劇俳優賞受賞おめでとうございます。
前にも書きましたが「この男は関西で、いや日本で絶対に有名になる!」と
打ち上げでの誰だかの豪語はこうして現実のものとなっていくのですね。

どうやって死のうか(いや、死んでやろうか、ですか)という感覚が
段々とリアルになってきたお年頃!の私です。
自分の現在の働き場所がいわゆる高齢者施設であることが
ほぼ毎日、生き“続ける”こと(死ぬまで生きるという契約)への得心と
そうでない部分と、家族との関係性の中のガサガサした摩擦熱によって生じた
エネルギーに支えられているといった皮肉な現実について、
一体自分はどこへ行くのだろう?という不安が
もう可笑し味にまで昇華していることに、今更ながら気付くのです。

このお芝居も看取りの現場が背景にあって、
しかも総集編というだけあって、
中身にまみれている“ややこしい”事情は在る程度端折られています。
演劇は演劇という仮想の中で限りなくシンパシーを求めて、
そこに新しいリアルを作り出します。
常に「半歩先行く観客」に永遠に追いつけない演劇のもつ「性(さが)」を、
しかし柳沼さんはいつも誠実に舞台にホログラムのように立ち上らせるのです。
まだ名古屋、松山と公演が控えていますので
内容については触れませんが、素晴らしく土産の大きい公演です。

※京都の舞台上の画像は → http://www.karasuma69.org/posts/2036154






















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