「 T/IT:不寛容について 」

Category : パフォーマンス見聞
不寛容

2017.03.10~03.12【 京都芸術センター 講堂 】

Monochrome Circus+Kinsei R&D
出演:田中遊 (正直者の会)/長良将史
森裕子/合田有紀/野村香子/小倉笑
演出:坂本公成 ・藤本隆行

【許し】と【赦し】、この言葉のそれぞれの程度やその質、
使い道についてここで言うつもりはありませんが、
坂本さんと藤本さんがこの公演を作ろうと考えていた頃の不穏な世相から、
さらに異様とも思える状況が出来上がってしまった昨今、
寛容であることを或る種の道徳観のもとで学び、
性善説のもとで受け入れてきたことが音を立てて崩れていくような気になります。
ダンスだけでは表現しきれない、
この「人の機微」に重い意味を持つ「不寛容さ」は
田中遊さんを狂言回しのような(僕には神に見えましたが)役割に置いたことに
成功要因があると思っています。
インタビューでも言われていますが、
演技的なことはほぼ田中さんに任せたということにも
非常にタイトでソリッドな作用をもたらしたと思います。
会場を使い切る、といったダンスの演出は抑制されつつも制御不可能な動きを反映させ、
何よりも膨大な情報量で観客をこれでもかというほどに揺さぶります。
巧みに計算されコントロールされた映像・音楽と相乗するダンス、
そして、すっかり小倉笑さんに魅了されてしまった自分がいました。
強力なメンツが作った強烈なエンターテイメントは、
舞台が終了した瞬間から、じわじわと引き戻されていく現実感へのプロセス、
余韻を通じて「世界のありさま」を考える機会を
改めて与えてくれたのだと痛感するのです。











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烏丸ストロークロック × 庭ヶ月 共同連作「 凪の砦 」

Category : パフォーマンス見聞
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2016.02.09〜02.12【 アトリエ劇研 】

作・演出:柳沼 昭徳 音楽・演奏:山崎昭典
出演:阪本 麻紀/生坂 美由紀/岡村 里香/角谷 明子/澤 雅展
図師 久美子/長谷川 直紀/柳 泰葉/西村 貴治/たなべ 勝也

まずはヤギーさんこと柳沼さんの京都市芸術新人賞受賞と
主演の阪本さんの関西現代演劇俳優賞受賞おめでとうございます。
前にも書きましたが「この男は関西で、いや日本で絶対に有名になる!」と
打ち上げでの誰だかの豪語はこうして現実のものとなっていくのですね。

どうやって死のうか(いや、死んでやろうか、ですか)という感覚が
段々とリアルになってきたお年頃!の私です。
自分の現在の働き場所がいわゆる高齢者施設であることが
ほぼ毎日、生き“続ける”こと(死ぬまで生きるという契約)への得心と
そうでない部分と、家族との関係性の中のガサガサした摩擦熱によって生じた
エネルギーに支えられているといった皮肉な現実について、
一体自分はどこへ行くのだろう?という不安が
もう可笑し味にまで昇華していることに、今更ながら気付くのです。

このお芝居も看取りの現場が背景にあって、
しかも総集編というだけあって、
中身にまみれている“ややこしい”事情は在る程度端折られています。
演劇は演劇という仮想の中で限りなくシンパシーを求めて、
そこに新しいリアルを作り出します。
常に「半歩先行く観客」に永遠に追いつけない演劇のもつ「性(さが)」を、
しかし柳沼さんはいつも誠実に舞台にホログラムのように立ち上らせるのです。
まだ名古屋、松山と公演が控えていますので
内容については触れませんが、素晴らしく土産の大きい公演です。

※京都の舞台上の画像は → http://www.karasuma69.org/posts/2036154






















「 音響彫刻ライブ vol.2 」

Category : パフォーマンス見聞
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渡辺亮(パーカッショニスト)
北村千絵(ヴォイス)
宮北裕美(ダンス)
山本祐介(作曲家・パーカッショニスト)
岡田加津子(作曲・演奏)
石塚廉(コントラバス)

2016.11.18【 京都市立芸術大学 大学会館ホワイエ 】

昨年の今頃、京都芸術センターで展示、
演奏された機会を見逃していたので、何としても観たかったライヴ。
この音響彫刻は1970年の大阪万博のためにフランソワ・バシェ氏が作ったもので、
地下に眠っていたんですね。
当時17基あった作品のほとんどはサビや損傷がひどく、
内2基を2015年にアーティスト・イン・レジデンスで招へいされた
バルセロナのマルティ・ルイツ氏が修復しました。
ホワイエに響く金属音は時に吠えるように、
囁くように、泣くように、まさしく即興の妙味あふれる演奏で、
これほど多くの人が聴きに来るとは意外でした。
4つの曲、たっぷり2時間弱。
最後は鑑賞者が自由に彫刻を演奏できるということで、
子どもたちに大人気でした。

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劇団子供鉅人「 チャンバラ音楽劇 〜 幕末スープレックス 」

Category : パフォーマンス見聞
幕末スープレックス

2016.09.17〜090.25【 東京芸術劇場 シアターイースト 】

演出の益田さんの
「みんなが夢中になれる、大きな物語を上演する機会が
失われていくような気がする」とのコメントは
そのまま「個の時代」が抱える(演劇にとっての)
定めなのかも知れません。
暗闇を共有しながら、今から始まる一大興行を息をこらして
(いや、実際はガヤガヤとした雰囲気の中で)
ワクワクしながら待っている、あの感覚。
僕の世代にギリギリ残っている、下世話な臨場感。
益田さんは子供の頃にお父さんに連れられて行った
「七人の侍」を見入る大人たちの夢中な様子を思い出します。

さて、一昨年、本拠地を大阪から東京に移し、
独自のテイストを存分に撒き散らかしてくれました。
出演者数30余人に及ぶ大スケール活劇は、
キワものとかつての正統的なチャンバラと、
時事ネタも含めた喝采ものの「マンモスコント」。
5年前の「京都クリエイションWS 2011」で、
縁あってアトリエ劇研の舞台でご一緒させていただいた古野雄大さん
(正式に劇団員になられたのですね)もその存在感をこれでもかと振りまき、
機関銃トーク的台詞回しも素晴らしいものでした。
加えて全て生演奏。6人が舞台奥に張り付けで、
キャッチーで演芸なグルーヴを醸し出し、
また座席設定に畳一枚スペースで寝転びながらの「大名席」もあって、
籠に乗ってエイホエイホと観客の注目を浴びながらの登場も
中々の演出。
なんせ30人が歌い踊るの時代宴会劇ですから、
想像におまかせしなくても…嗚呼、オモロかったなぁ。

※本多劇場初参戦「マクベス」では
アンサンブルキャスト100人を募集中だとか。
皆様いかがですか?

akakilike「あんな衣装を着たかったことは一度もないの」

Category : パフォーマンス見聞
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主催・演出:倉田 翠 出演:倉田 翠/寺田みさこ/花本有加/松尾恵美
2016.05.01【 京都府庁旧本館二階 正庁 】

ステートメントはとても完結。「彼女たちになぜ足をあげるの?と聞くのは、なぜ歩いているの?と聞くことに近いと思う」という一節は、歩けるひとだから、そこに理由を求めたり、求められたりはしない、という意味であること、つまりは特別に意識する理由は無いということから察すれば、ダンサーへのこの問いへの答えは正にダンサーであることの生態的な習性を説明するに足る必然が存在するか、ということと同じなんではないか、などと。と、いうのも、この舞台に登場する4人の女性は共に幼少よりクラシックバレエを学んだ方々だからです。では、なぜクラシックバレエを習ったのですか、と問うても、そこは自己決断の及ばぬ年齢での、誤解を恐れずに言えば「脅迫的な日常」を象徴する出来事のひとつ、と捉えるわけです、ダンスの素人には。4人のダンサーが垣間見せるクラシックバレエのディテールと演劇的な所作、一見無表情を装いながら微妙に口角を上げるあたりの細やかな効果、絡まるのか、よそよそしいのか、はたまた、自己嫌悪の吐露なのか。4人の出入りと絶妙なやり取り=シンクロニシティが、このルネサンス様式を誇る国の重要文化財の、重心が低く、かつ天井の高い、様々な歴史の痕跡を留めているステージで繰り広げられるあたり、貴重な目撃体験をさせていただいた感であります。バレエ音楽そのものも、一種のサンプリングとして聴こえてくる奇妙さ。倉田さんの演出は実にクールでダンサーとしての自己を遠いところに置いて、見つめているような眺めているようなスタンスを感じるんですね。ダンサーとしてのカタルシスや観客が得るシンパシーから、ちょっと離れた独特な感じ、とでも言うのでしょうか。4つの彫像が織り成すインスタレーション、そんな解釈で見てみると、とても贅沢な時間を頂いた気持ちにあります。

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