スローネスとクイックネスの狭間…「ラム・カツィール展 Storm in a Teacup」

Category : 現代美術シッタカぶり
ラム

Ram Katzir, Storm in a Teacup, 2009video installation, Kyoto Art Center,
Japan(c)All images courtesy Studio Ram Katzir, 2009


7月10日→7月26日【京都芸術センター ギャラリー北】

国内外のアーティストをある地域で一定期間滞在させて、
創作活動をさせるという事業である「アーティスト・イン・レジデンス」。
イスラエル出身、オランダ在住のラム・カツィール氏は
そのレジデンス・アーティストとして、
この4月より京都に滞在している。
いわば“新作発表会”といったもの。
過去の作品にあるようなオブジェかと思いきや
三分ほどの映像インスタレーション。

靴を脱いで暗い会場に入ると畳み敷。
まずはお茶席のシチュエーションが映し出される。
この“人物レイアウト”の設定が有り得るか否かはこの際、問題にはしないでおこう。
要は和服姿・庭・茶室のアイコンがあれば、この場を伝えるには事足りるのだから。

ゆるりとした、それでいて、ほどほどの緊張も伴う作法が行き交う中、
向かいの竹林には葉がひとひら、ふたひら舞う。
突然、正面の庭に新幹線が通過する。それこそ唐突に。
以後、車窓からの文字通り“飛んで行く風景”の映像。
遠くに山々が見える田舎の景色であったり、
都市の沿線住宅であったり、大きなビジネスビルの群落であったりする。
プラットホームが飛び、橋が目の前を瞬時によぎって行く。
サブリミナルのように挿入される電光掲示板の文字。
人々のざわめくような、囁くような声、
駅職員が放つ音声は逆回転だろうか、
さまざまな画像と音声の短いコラージュ。

ある外国人が日本の列車に乗ってまず驚いたのが
その速さはともかく、このアナウンスだったと聞く。
列車の発着、危険防止、携帯電源、優先席について
毎度毎度アナウンスされることに“新鮮”に驚いたと…。
そこにはマニュアル通りのおせっかいで、やかましい啓発。

乱暴な言い方だが、日本文化に脈々とある時間感覚。
それはつまり、静止と次なる静止をつなぐ“優雅であって合理的な動”。
どこにもないそれらの動きが一連の流れとなって成立した時、
そこの場所では“磁場”が生じる。
作家は茶道にそれを感じた…スローネス。

折り紙の反対側にあるのは
高度なテクノロジーによる“必要以上(!)の高速性”。
とてつもない“速さ”に貫かれているような日本列島。
移動時間の短縮に全身全霊をかけて挑む。
モバイルが速さを手に入れ、コミュニケーションからは情緒が消える。
それは押し並べて、どの国でも辿る情報社会の通過儀礼。

しかし、日本という捉えどころのない座標には
独自な「スローネス&クイックネス」が同居している。
特別な意識もなく、気付きもせずに生活しているほどに
それはごく普通。
ラム・カツィール氏は、その事に“ささやかな喚起”を促している。


ラム・カツィール氏のウェブサイトは
http://www.ramkatzir.com



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