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槌の音と鈍色の匂い、そして愛しきマケットたち…「 渦巻く思考と溶ける彫刻 安慶田 渉 」

Category : 現代美術シッタカぶり
3月16日→4月2日【 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w 】

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取り除いても、付加しても、折っても、
彫っても、くっつけても、編んでも、
固めても、切っても、曲げても……
彫刻というのは左様に自由だ。
そしてまた素材にがんじがらめにされたり、振り回されるという
彫刻にとっての宿命的な側面というのが
観る側にとって実に無責任に楽しい。
当たり前だが彫刻は完成して
彫刻作品となるわけで(完成の解釈にもよるとは思うが)
「工程」という“使われた時間、
あるいは要した時間”というのは中々に見えにくい。
やはり手の内は明かさずというのが作家の本心なのだろうか。
手動式のリフトに乗った
巨大な観音像の頭部といった佇まいで立つ鉄のオブジェは
全て、蚊取り線香ほどの鉄戦の螺旋体で構成されている。
この「死と再生の循環」は2009年作であるから
経年した痕跡がいかんともしがたい錆によってまた趣が変わる。
立像の「渦巻く人間」もしかり…
ここに鉄の実在をひしひしと感じる。
そう、錆の匂い…
一本の線は渦巻くことによって円を成し、底面と深さを持つ立体になる。
「宇図」とはまた素晴らしいネーミング。
あえて線の最後は上向きにこれから向かう場所を探すかのように
何かを伺っている。

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CIMG5826.jpg ←こちらが高さ10センチほどの樹脂製のマケット

CIMG5822.jpg ←彫刻の際に出た破片

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▲ここまでくるともう立派な作品だ。全て驚くほどリーズナブルな価格で買える。

さて、石が溶けている。
実体が溶けるというよりも、実体はもぬけの殻になって
外皮が重力の掟どおりに溶けて流れている。
一人の作家の作品でこれほどの広い会場を占有している、
この状況そのものが痛快感に満ちていて、ワクワクしてくる。
棚には樹脂製立体物が92点。
中々に壮観。
これらはマケット【maquette】と言われる試作のための雛形。
作家は石彫刻を作るためにマケットを次々に制作し、
“理想的な溶け姿”を探す。
これは発泡スチロールに樹脂をたらして、
乾燥させた後に中の発泡スチロールを溶剤で溶かして作ったもので
明快に引力の結果が楽しめる。
選ばれし一点が正確な意味でのマケットで
その他はマルチプル【multiple】、
つまり量産された美術作品とも言えるとオーナーは仰っていた。
と言っても一点たりとも同じものはない特殊なマルチプル。
それぞれに造形的に魅力的で、見ていて飽きさせない。
この気分はなんだろう…
子供が博物館で不思議な生き物の化石を見ているような感じ、
とでも言えばいいのだろうか。
作家は石彫刻を作る上で当然出てくる石の破片も“展示”する。
僕たちは本来の姿と“彫刻された”、
人間の手で削られた姿を重ね合わせ、そこに時間を見る。
時間と共に検証ともいうべき、
アトリエの光景が会場に再現されている。
それは石を叩き、削り、鉄を曲げるベクトルを視覚化することで、
作者自身をホログラムのように立ち上らせる。

見てまわる。
背中にアタマに足元に、作者の意気込みをズンズン感じる、
久方ぶりの重量感を味わった個展だった。

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▲道具類も展示。


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