「この役立たずが とても役に立ったわ そんな感じ」

Category : 現代美術シッタカぶり
2015.3.6/7/8/14/15/21/22
【京都市歴史的意匠建造物指定 吉原邸】
屋町京都市上京区葭屋町通上長者町上ル南俵町325

「公共性に支えられた近代の美術館制度が
制度としての「美術」を存続させるためには
中立性を担保する象徴的空間が必要であり、
何もない空間ゆえの可変性と柔軟性を特徴とするのは、
近代美術が鑑賞体験の純粋性を追及したゆえである」
(artscape「アートワード」著者:松本順子氏より抜粋)

これはホワイトキューブの解説/定義ですが、
昨今では現代美術の展示に町家や神社仏閣が会場になることが多々あります。
しかしそれらを見るにつけ首をかしげたくなる展示が多いことも確かです。
結論から言えば「詰めの甘さ」と当事者の認識不足が招く
歴史的建造物プライドに乗っかっただけの展示というわけです。
せっかくお楽しみにしていた作家さんの作品が無惨な環境に置かれていて
暗澹たる思いにさせられたことが多々あります。
加えてギャラリー施設としてではなく、
文化施設での展示になると、もうそれは観客視点なんぞどこ吹く風。
作品点数から割り出した展示がみえみえで
もうぐちゃぐちゃな展示になっていたりします。

今回は築150年の京町家での展示です。
ここで実際に生活されている吉原さんと話をしていて痛感するのは
先に述べたような環境での安直な展示が作品の持つ特性や作家の個性を
台無しにしているということでした。
展覧会は京都と東京を拠点とする5人の美術家によるもので
タイトルの「この役立たずが とても役に立ったわ そんな感じ」とは
実際に生活の場として歴史的意匠建造物にも指定されている
いわゆる“由緒”ある京町家におよそ無関係な機能性のない(と思われる)
作品を展示して、この町家環境にどんな変化がもたらされるかを
検証するような内容になっています。つまり「役に立つのか」ということです。
薄暗いたたきの冷たさと凛とした空気、独特の空間(容積)を持つ
この家のそこかしこにある作品の絶妙な「置き位置」に
なるほどなぁ、こういう展示をキュレーターは見るべきなんだなぁと
実感しました。
ホワイトキューブは乱暴な言い方を承知で書くと
「無作為な空間」とも受け取れます。
無味、でもいいと思います。変容性がなく、かつ汎用性に富むという意味では。
それによって作品そのものが際立つという環境を
創出して(無作為なのに)いるわけです。
小雨降るお昼前、芯から冷える町家は
作品そのものが環境に甘えられないという切実さもともなって
とても意義のあるものとなりました。
5人の作品についてのレビューは控えますが、
それぞれが、この空間に作品を置くことの、
違った意味での葛藤があったか、
またあたかもそこに昔からあったかのような風情と面差しに満ちていることへの
率直な驚きも発見しました。
中でも染谷さんのオブジェはかつてホワイトキューブで見たものとは
全く違う印象を放ち、また庭に置かれた背の高い手水鉢に浮かんだ
正円の金箔が時間とともに端が切れて底に落ちて
月と星くずとなるインスタレーションにも感服しました。
参加芸術家は児玉真人さん(彫刻家、京都)
茂田真史さん(陶芸家、東京)
白田祥章さん(画家、東京)
染谷聡さん(美術家、京都)
原口健一(彫刻家、東京)です。
作品ととりまく空気感が拙写でうまく伝わるかわかりませんが…

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