「 timelake 〜 時間の湖 」

Category : 現代美術シッタカぶり
「timeline」を一方向に流れる時間を“川”に例え、
一方向の流れではなく“湖”のように時間が溜まり、
いろいろな方向へ流れ混ざる時間を「timelake」とした見立てには
とても共感しました。
ギャラリーでは5人の作家さんたちが
それぞれの「制作にかかる時間」を可視化したものが展示されています。
このテーマそのものはあらゆる分野での制作に普遍的なものですから
この展示は一種の「気付き」であるとも言えます。

柵瀬さんの作品「木を縫う」
「木材に刺繍をする」というおよそ想像だにしない行為。
先入観がいかに有り体であるか、
素材と行為との揺らぐような摩擦は仕上がった作品を見ると
「自然=年輪=時間」と「縫う=ひと目=時間」というマッチングの
鮮やかな妙を強く感じてしまいます。
「素材の抵抗感」を感じながらの時間が見えてきます。

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楢木野さんの「その地点」
独特の加飾感で円柱や陶板作品を多く発表されている作家さんですが
今回はまるでコーンやブイのように「定位置」を示すフォルムです。
これはとても断定的な意味を持つ「サイン」の一種ですから
(しかもこれらのサインは屋外に置かれることが多い)
楢木野さんの言う「空間の印象の変化」というテーマに添えば
なるほどと思います。

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藤安さんの「 empathize 」
「共感」という意味です。
藤安さんは双子であることの存在証明を追い求めている写真家です。
ご自身も双子であることの様々に向き合わねばならない宿命、
「似て非なるもの」と同じくらいに「似て同じ」に認識される
世界が厳然としてあることへの恐怖感と向き合います。
二つの命が同じタイミングで生まれ、平行にあるいは交差しながら
時間の経過を見ていくことの不思議さ。
この写真のモデルはアーティストの
三尾あずち、あすかさんではないかな。

三尾あずち、あすかJPG


芳木さんの「 Towel#04 」「Cloth#2 」「 Knit#04 」
ともにパネルにシルクスクリーンの作品です。
パソコンに取り込んだ画像がモチーフになっていますが
最大の特徴は幾重ものレイヤーによってインクが積層されて
立体が表出していくというもので、
その手法もさることながら、作品が美しいことにも注目されます。
絵具そのものを画材=ツールとしての意味以上のものに昇華させ
「重なる時間」が「見える時間」に置換されていくプロセスを
感じ取ることができます。

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そして今回の展覧会の企画をされた福田さんの「 jewel_2013 」
以前にも同ギャラリーでの個展を拝見したおなじみの映像作品です。
女性の後ろ姿が揺らめきながらわずかに変化していく作品で
被写体の女性については数百枚の画像を重ね合わせて
いわゆるコマ送りのように見せるものです。
相当に時間をかけて撮ったものでモデルになった女性の
自身では自覚していないような微細な動き=生体としての反応が
幻視のように現れます。
それは単なる動画を見ているような時間の流れとは
一線を画した風情を放ちます。

P3060020.jpg


現代社会において時間は加速度的に流れて行くものという認識は
同時に「流れずに溜まる時」がもたらす様々な事象と交錯しながら
生活の場に多大な影響を与えています。
決して消せない情報=拡散・炎上というワードも
頭に浮かんできます。
「 timelake 」という言葉に込められたものは
今後とも多くの作家の創造神経を刺激していくことでしょう。



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