「 The Colors of Hong Kong 〜 畠山 元成 個展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2015.03.31〜04.05【 KYOTO ART OUTLET CENTER 】

京都新聞のコラムで
写真評論家の竹内万里子さんが書かれている「写真の消費」。

「オンラインとオフラインの両方で、
かつてなく膨大な量の写真を見て暮らしている。
その大半は「何が写っているか」が分かった途端、用済みになる。
SNSなどで共有される自撮りや日々の写真は
「どのようにすてきに写っているか」が肝心だ…
このように始まるコラムは、つまりは
「パソコンや携帯の画面から目を離して“立ち止まり”
写真を“ゆっくり”見ることから始める他ない」と締められています。

これはある写真家の展覧会のレビューですが、
先日、初めて拝見した大河原光さんの個展を見て
(シッタカのレビューでも写真の個展はかなり少ないのです)
改めてこの事を実感しました。
もっときちんと写真に向き合わなければ畏いけないな、と。
その大河原さんが「次の個展も面白いはずですよ」と勧めてくださったのが
今回の畠山さんです。

記憶に新しい香港のデモ。
これは2014年の9月に10週間わたって行われたもので
いわゆる民主的選挙の要求デモです。
畠山さんは現地へ行き、現場の様子を撮影しました。
と聞くとルポルタージュの趣が感じられるのは無理からぬことで
とりもなおさず被写体そのものが政治的な要素をはらんでいる、
それも日本で言う、あるいは想定されうる範囲、
スケールを凌駕するものだったということがあります。
しかしここにはほとんど人物は写っていません。
デモ隊に占拠された道路の状況を「光景」として「観察」するかのように
至って冷静な視点でトリミングしています。
写真は言うまでもなく圧倒的に「記録」としての手段、ツールとして
存在するものではありますが
人々がシュプレヒコールをあげて
拳を突き上げる写真には報道(ドキュメント/資料としての)の
意味以上のものを求めないのではないでしょうか。
畠山さんはステートメントでも書かれているように
ただのデモを“知る”ためではなく、
現在の社会や人々に対して普遍的な何かを伝えられること、
読み取れること、つまり広く対話の可能なイメージを作ることを
目的に取り組まれたとあります。
つまりデモという行動体系の中から生まれる風土性や民族性、
そこから派生する装置としての「光景」を
インスタレーションとして見立てる、というとても斬新な視点で
捉えてみようと試みたわけです。
「デモ現場の創造性、機能性」というのは
このような長期にわたる一般的に言うところの
「座り込みデモ」のようなケースに於いて
どこからか種子が飛んで来て一斉に芽吹き
「抵抗へのスペクタクル」が花開きます。
それは支持する者、される者、託す者、実行する者同士の
「暗黙の意志確認」の場でもあるわけです。
写真を見てもわかるように
俯瞰された報道(的)写真ではわからない情景が
まるでフェスか、大掛かりな現代アートでもあるような
不思議な印象を与えます。
ここから分かることはデモという行動が作り出した
「共感の装置」が必然性を帯びているということで
デモに集う人たちの「村」にあるべきものがあるという
(例えば図書館、アートスペース、討論ステージなど)ことなのです。

日本の問題は問題として
やはり大陸的(この意味は行った経験も住んだ経験もないシッタカには
わかる術もないですが)な「呼び起こし」というか爆発力、動員力の
賜物なのかと感心してしまうのです。
国会前の相当数のデモが報道されることが殆どない国というものへの
またマスコミという意味そのものへの疑問は
もはや暗澹を通り越して絶望的でさえあると感じます。
デモで何かが大きく変わることは
天安門を見てもわかるように期待はできないどころか、
あの国ではしかけた人間が大きなリスクを背負い込むかも知れません。
それでもするのは起爆となる学生の力によるものが大きいのも事実です。
かつての学生運動に単純に憧れ続けたシッタカとしては
ふと、あれは何だったんだろうと考えてしまいます。
あの収束感、フェードアウト…

話が飛んで申し訳ありません。
冒頭の評論家の言う「ゆっくり写真を見よう」という言葉に
最近感じることが多くなっています。

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