「 松本 さやか 個展 〜 gunung 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2015.06.09〜06.14【 KUNST ARZT 】

表現しようとする対象への
潔いほどの捉え方が、松本さんのスタンスを示しているんではないか、
などとシッタカは穿(うが)ってみます。
ご本人と話をしていても、決して多くは語らず、
むしろ言葉によって希釈されることを危惧しているかのようでした。
それは見事なまでの「表現手法」と「表現対象」の
決してロジックではない、強くて誠実な結びつきです。
森羅万象を静かに、時には睥睨(へいげい)しているように
あるいは時疲れた心を慰労し、
そこに「存在」の大きさや重さを知らしめる山。
神の在処や信仰の拠点となる理由は言わずもがなです。

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稜線のみをクローズアップしてみせるドライポイント手法での表現。
この稜線について調べてみると、
「山体自身の重さで斜面がゆっくり変形する現象(重力性変形)が広く生じており,
その結果として,斜面には岩盤の変形に伴い形成された
線状凹地と呼ばれる溝状の地形(断層崖のような形態)が
現れることが知られている」という
国土地理協会の研究論文がありました。
つまり、その凹地は山の変形によって作られる地形のため、
この凹地が形成された時期を明らかにすることが
いつごろから山が変形していたかを知ることになるというものです。
稜線、よく言う尾根ですが、山々の大きなカタチを視認する上で
当然のように重要な目安になっていますが
これは人間でいう目鼻立ちにあたるのかなぁなどと
呑気に考えてしまいました。
成長と共に変化する顔つき、とでも言うのでしょうか。
最初に会場に入って目につく、この作品に
もしかしたら拍子抜けするかも知れません。
それほどに画面の中の線はあっけらかんと、そこに引かれています。
しかし時間をちょっとかけて作品の前に立ってみると
見えてくるんですね、山の表情が。
いつも思うことですが、無いものが見えてくる快感です。

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奥の部屋は黒々としたほとんどシルエットに近い調子で
“版画”された山。
作品は壁に、そして銅板は床に。
実体と映される像。
銅板に鈍く反射される作品。
この関係性を見事なインスタレーションで表現しました。
それは湖面に映る山を連想させ、
上下に反転された矛盾的関係の妙を愉しむことができます。

山への限りない憧憬と畏敬を
版画という手法で表現したことは
このインスタレーションを見てストンと落ちます。
対象を“描ききる”ための最適な方法。
版画の展覧会は確かに少ないと言えますが、
今年の卒展で特に印象に残ったのが
京都精華大学の版画ブースだったことを考えると
充分に納得のいく個展でした。

ところでタイトルはインドネシア語で「山」という意味です。

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