唾棄すべき通過儀礼という評価を終えて…「HEAVY METAL LOUDER THAN LIFE」

Category : ドキュメントDVD
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さて、ヘヴィーメタルである。
小学生のビートルズ「ホワイトアルバム」との衝撃的出会いから
Rock(あるいはRock的なるもの)を聴き続け、早40数年。
当時はブルースをベースにしたブリティッシュバンドが多く、
フリートウッド・マックやチキン・シャックもそのひとつであった。
彼らが求めてやまない「ブルース」への憧れは
ジミー・ペイジ、クラプトン、ジェフ・ベックに継がれ
やがてハードロックという大きな本流を作り上げ、
ブルースのリフから逃れようも無い状況の中にあったと言えよう。
全ての道はブルースに…という例えは在るや無しやは別として、
ヘヴィー・メタルにとって「ブルース的なるもの」が
いかに邪悪で目の上のたんこぶだったかが、
このドキュメンタリーを見るとよく理解できる。

HEAVY METAL LOUDER THAN LIFEは
主にミュージシャンのインタビューとライブ映像で構成されているが
本人達のコメントの何と拙いこと。冗漫である。
つまるところ、言葉での表現の乏しい部分が反動となって
あのとんでもない音圧と音響に反映されているということか。
饒舌で雄弁なメタルなんてクソみたい(彼らの表現を借りれば)なものなんだろう。

成功したバンドのスタイルを誰かが真似る。
その誰かをまた他の誰かが真似る。
これは明らかな負のスパイラルとなって
結局はステレオタイプのヘヴィーメタルバンド像を植え付けてしまい
自分たちの首を締めることになったのである。
演奏も、ファッションも、アクションも全てが同じようなバンドは
見向きもされなくなり、危機的状況を生んでしまった。
例になったバンドには失礼だが、そのモデルとなってしまったのは
モトリー・クルーやクワイエット・ライオット、ラットである。

意外なことも知る。
彼らは音楽業界の中でも特にファッション性に無頓着で
着の身着のままでステージに立ち、センスゼロ。
あえてイメージ作りに取り組む気配はなかったということ。
ジューダス・プリーストやホワイト・スネイクのヴォーカルのような短髪も
当時は違和感極まりなかったが、当のメタラーには関係なかったようだ。
音が良ければいいのだ。

メタルバンドといえば外せないのは、その悪魔的・呪教的な、
強烈な“押し出し”と過激な歌詞、そして、
ここがポイントだが“邪悪なリフ”のブラック・サバスである。
彼らが歴史を作り、彼らのファンがメタルを育ててきた。
ヴォーカルのオジーはしかし、現在では愛すべきキャラクターで
幅広い層から支持されている。
彼のカバー集「UNDER COVER」は昨今のカバーアルバムとしては
まさにロックの歴史のインデックス、出色の出来映えである。

ウッドストックにゃ、ヘドが出ると公言してはばからない
元祖メタルたち。何を嫌ったか、それは反体制を唱えながら
非情に“軟弱な”音楽に、熱狂していることの不可解さである。
だが、ジミヘンは別である。
彼以前と以降ではロック・シーンが大きく変わった。
ただジミヘンはあくまで歴史上の重要人物という位置にある。
ロックを語る上の巨人というわけだ。

ハードロックの魅力はツェッペリンの例を出すまでもなく
「リフ」と「ヴォーカル」の絶妙なバランスと重低音である。
メタルはどうか。特徴的なリフが成功の元と言うには言うが
極めて単調である。
そして、書きながらやはり心もとないのは
どこまでがハードロックで、どこからがヘヴィーメタルだろうということ。
それが先に述べた「ブルースからの呪縛」である。
ブルースリフはおおよそのバンドのサビに登場し、
そのまま曲の印象を左右する要にもなっている。
後はエフェクターやミキシングの妙、
そして忘れてならないのは“早弾き”。
イングヴェイのようなフィルムを早回ししているとしか思えない指さばきと
リフの応酬はメタルにとって最も不必要なファクターだ。

全体を巨大な音圧で“脅迫”するがの如く、うねらせ、
独自のグルーヴを作り出すメタルもやがて時代とともに変化する。
ヒップホップとの融合である。
折り紙をたたんだら一緒だった、という或る共通項…
それは「叫び」であり「吐露」である。
確かにメガヒットした「WALK THIS WAY」には、
既存のどちら側のファンも相当にとまどったはずだ。
しかし音楽とは面白い。メタル側が接近し出したのだ。

関係者は一度は見向きもさっれなかったメタルが
新しいスタイルで復活することを再び夢見ている。
但し条件付きだ。
「メタルが売れたり、広がるのは困る。ポジションはマイナーがいい。
ニルヴァーナを見ろよ。両親も知ってるバンドなんて好きになれるわけがないだろ!」

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