「 Phantom Form, Invisible Move 」ArCairo

Category : パフォーマンス見聞
アルカイロ

アルカイロ裏面

構成・演出・出演:長谷川 寧
構成・振付・出演:いいむろなおき
2015.07.17〜07.21【 東京こまばアゴラ劇場 】
2015.07.25〜07.26【 神戸アートビレッジセンター KAVCホール 】

新開地デビューはとにかく暑い日でした。
だからか、特別に新開地という場所についての印象は
揺らめくように、蜃気楼のような朧げな感じです。
さて、長谷川寧さんといいむろなおきさんのユニット
「ArCairo(アルカイロ)」のテーマは
「誰も見た事の無いマイム」は存在するのか?というものです。
つまりお二人によるマイムの検証です。
舞台に立つ二人。
実にいい感じなんですね。
もちろん演出されているわけですからインプロではないのですが
いわゆる「出来上がった芝居」とは違う、
観客へ投げかける時の臨場感というものを意識しているのかなぁと
シッタカぶります。
“ああいう”寧さんらしからぬ部分と、やっぱり寧さんだなと思わせる部分が
絶妙なバランスで釣り合っています。
勿論いいむろさんはマイムのプロですから
何をするにもソツが在りません。
充分に“足りて”いるのは当たり前です。
でも、あえて観客にはエンターテイメントとしてのマイムを出し控えます。
僕たちはマイムの何を知っているのでしょう?
そこで寧さんのナビでちょっとしたお勉強タイムが始まります。
息を殺してオープニングを待つという空気を見事に
あっさりと日常へと、目線の高さへと導いていく手腕はお見事です。
突き詰めていけば…「そう、何にもしない、ということになります」という下りは
カンバスを切って作品としたフォンタナや
弾かずに座っているだけのピアノ作品「4’44”」のジョン・ケージに通ずる
(もちろんそんなことは意識されてはいないでしょうが)
究極の選択なのですが、ここで僕たちはとても生臭い投げかけに出会います。
「それでは3000円払った意味がないですよね。では
3000円で何が買えるのか?」
スクリーンに映る対価に見合うアイテム。
それにても寧さんは映像の使い方が巧みです。もうほれぼれしますね。
おっと、対価、対価。
「3000円で想像を買ったと思ってください」
これはけだし名言です。

マイムの歴史を知ることは、戦争をするという、あるいはしたことによる
世界の世相を知ることになります。
小気味よいいいむろさんのマイムは言わずもがなですが、
テーマである「誰も見たことの無いマイム」とは
完成された、つまり結果としてのマイムではなくて
マイムにそぐわないこと、マイムをするにあたっての不適切な条件を
組み入れてあえてマイムするのです。
そのことによって、よりマイムがクローズアップされ、
或る「一つの表現方法」としてのマイムの存在そのものに
焦点を当てることに成功しています。
見えない、光がない、声を発する、いい加減、おせっかい…などの
要素がマイム表現を成立させないということを
逆説的ロジックを通じて体感するわけです。
皆さんが待っていたいいむろさんの独壇場。
ちゃんと後半に用意されていました。
これにもほれぼれ…
寧さんは言います。
将来、言論統制が敷かれ、過去にあったように
芸術表現に厳しい検閲が入り、
政治的な発言や意見が封じ込められる時が来たら
(勿論、誰も望んではいませんが)
マイムがかつてのように一世を風靡するかも知れない、と。
安部がオリンピック招致の際の空虚な演説に合わす
いいむろさんの口パクが皮肉な笑いを誘います。

印象深かったのは、最後のご両人の挨拶、拍手となって
「シー」と観客を黙らせて、静かに下手に去っていく二人の背後の
スクリーンに映し出された、淡々と過ぎて行く西暦の年号…
僕たちは未来をどう「想像」したら良いのでしょうか…
大満足の90分でした!


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