「Nozomi Murata Exhibition 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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2016.02.16~02.21【 trace 】

「決してわかった気になるな」という自分自身に肝に命じていることがあります。趣味で、といってもある意味で作家さんのゾーンに土足で素人が上がるようなものでもありますし、何よりも作家としての共有感(つまり制作を通じての)は全く無いので、現場でのご苦労など知る由もありません。だからこそ「知った気になるな」と自戒も含めて言い聞かせています。村田さんは初めての作家さんです。そして初個展です。京都精華大学のテキスタイルコースに在学中の学生さんです。最初にDMを見た時、作品の想像がつきにくく、なおさらに楽しみにこの京都水族館前のギャラリーを訪れました。まず驚いたのが作品点数です。両側の壁に一点ずつ。初個展だったら欲が出るのが人情です。できるだけ自分の作品を見て欲しいと思うのなら相当数の作品を掛けますが…その勇断にまず感服。初めは一点だけ!だけという話だったそうです。村田さんは言います。「会場を饒舌な空気にしたくなかった」やるなぁ、村田さん、という感じでした。冒頭に述べた自戒はこういうことです。見知ったような「こうだろう」という憶測をこうも裏切ってくれる作家さんがいるわけです。なるほどこの会場は自然光とスポット照明とが絶妙に調和する場所で、南向きの屋根に天窓がありますから、日の陰りによって作品の表情も変化します。壁に掛かった一枚の大作は近づいてみるとまるで浮世絵の木版画のようにも、ちょっと下がると野良着の柄のようにも見えます。綿に色糊を置いていく作風で、生地に染み込まないようにあらかじめいろいろな濃度・粘度に染料と糊を混ぜたものを用意し、一枚の生地にたらし込んでいく手法をとっています。じっくりと見て、表情の変化や気付きの機会を得られるという設定を選んだわけです。DMに使われた作品のより実物感のあるものよりもさらに抽象化されていますので、観客のイマジネーションを静かに刺激する作品になっています。滝の飛沫、山々の木々、川から海へ流れる様子など、僕が感じたものはいずれも自然の形態でした。村田さんのこの作品にあるものは自然への畏敬の念と、もっと言えばアニミズム信仰のような雰囲気をも醸し出しています。荘厳・神聖・毅然・豊穣、などいくつものキーワードが頭に浮かびます。対面にある作品は全く同じ大きさに同様に染色された生地を折り畳んだもので両端から圧がかかったような体裁になっています。明るい仕上がりになったその作品を見事に「布彫刻」として提示してみせてくれます。この互いの作品が声なき声で呼応するように会場の空気は二点の作品に完全に支配されていたといっても過言ではありませんでした。あっぱれな村田さんでした。

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