漆は血液…「華実 笹井史恵展」

Category : 現代美術シッタカぶり
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5月26日→6月7日【ギャラリー恵風】

氏のコメントに
「生物的なものを作りたいという思いがあり、
その表現方法として漆は最適である。漆は樹の樹液であり、
それは動物に当てはめて言うなら“血液”に相当するもの。
血液は身体の他のどの部分よりも濃密で、原始的な生命力が感じられる部分。
その樹液で作品はより生物的で強いものになる。」とある。

血液が他のどの部分よりも濃密か否かは別として
“源流”を感じさせる力を持っていることは確かだ。

会場奥の2点の作品などは観手に、様々な印象を投げかける。
朱色の乾漆で仕上げたものが中心で、
官能的な漆の朱は強烈な“命”の発露を放つ。

実は展評に「赤ちゃんのオシメ替えが…」とあって
とにかく実物が観たくてたまらなかったのである。
実際に目の当たりにすると、もう“安心”してしまう。
常にあえぎ、泣きわめき、時折見せる、一瞬の不思議な笑みを
密かに隠し持つ赤子が、今まさにお尻を浮かせて
オシメ替えに臨もうというシチュエーションがそこにある。
作家とは会えなかったので、
そのモチーフのきっかけ話を訊く機会が無かったのが残念だった。

この漆だけが持ち得る表情は、そう、例えれば
ピタっとしたもち肌のような色気か。
貼り付くような湿度と、同時に手を触れさせないバリアのような
ものにも包まれている。守られているのだ。
それは呼吸する起伏と命あるものの声である。

以前の作品もお尻や下腹、太ももなどの女性特有の“丸み”を
部分として造形化しているものが特徴的だ。
遠くから観ると、心臓をデフォルメしたらこんなかな…というような
印象を持った。

タイで2年間、研究や制作に当たっていたという氏はまた、
オダマキの実、タマリンドの種子、ココナッツの実といった素材を
使った、それぞれ“用”を成す器としての小物も発表している。
今回では観られなかったがタイで制作、発表した作品の中には
タイの紙を何枚も張り合わせて蓮の葉をつくり、
漆をしみ込ませた一閑張りもある。

女性が感じる“もののかたち”はいつ観ても
驚きと優しさに満ちている。
この世知辛くも暗澹とするご時世に、
このような作風の表現に出会えることは
誠に幸せなことである。



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Comment

漆は木の血液。
まさにその通り 生き物です。
漆を塗布すると 空気中の水分と結びついて硬化し始めますが 完全に乾くのは 一年で0.1ミリずつと言われています。
時の流れが刻まれる素材、漆の表現方法は多種多様、漆と地の出会いは一期一会。それだからこそ 漆は面白い。




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