メガグランパ&メガグランマ…「マイ・アートフル・ライフ 描くことのよろこび」

Category : 現代美術シッタカぶり
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7月17日→8月30日【京都造形芸術大学 ギャラリーオーブ】

川口市立アートギャラリー・アトリアで昨年4月に開催され、
多くの反響を呼んだ展覧会がいよいよ京都にやってきた。
「奇跡の三人」の老いてなお燃え盛る“描力”とも呼べるものに
会場で出会った瞬間、息をのむ。
この“ギラギラ感” “コテコテ感” “不敵なたたずまい”は一体何だ?

その奇跡の御三方とは
丸木スマ、塔本シスコ、石山 朔の各氏。

「原爆の図」の画家である丸木位里氏の母であるスマさん。
画家である息子の使い残しの絵の具で独学で描いた塔本シスコさん。
新聞記者時代に岡本太郎を取材し多大な影響を受けた石山朔氏。


みなさん壮年、老年期に絵を描き始めている。
なかでも丸木スマさんは、なんと1949年74歳で絵を描き始めている。
翌年、女流美術展に初入選を果たすという快挙を成し遂げる。
子供が画家であるということは、すでに良好な環境の中に居たということで
未亡人になり、息子夫婦と同居し、
働かなくていい状況になった時、退屈に嫌気がさして絵の手ほどきを受けたのが
そもそものきっかけだ。
独特の色使いとレイアウトがとても魅力的な絵で
特に「おんどりめんどり」は秀逸である。
1956年81歳で亡くなるまでに数多くの受賞作品がある、
まぎれもない女流作家である。

塔本シスコさん。
お父様の「いつかサンフランシスコへ」の願いを込めて付けられた名は
どのカンバスにもしっかりと大きく書かれている。
中には「88才 塔本シスコデス」と書かれているものもあり、くすりとさせる。
自分が今、見ているもの、人に感じたもの、好きな物をただただ無心に描く。
異様に長い多くのまつ毛は、
孫への「可愛らしいと思う気持ち」を素直に投影したもの。
おそらくは大事にしまってあった高島屋の包装紙のバラの花を
背景にコラージュし、画面は華やかな華燭の典を描き出す。
同時期に別のギャラリーで開催されている
「塔本シスコはキャンバスを耕す シスコ・美輪明宏を描く」は
大好きな美輪明宏だけを描いた個展。
段ボールに奔放に描かれた、いろいろな美輪明宏たち。
ちょっとコワいのも、笑っているのも、無表情なのも…。


先のお二人はすでにお亡くなりになられているが
石山朔さんは、なんと88歳のバリバリの現役アーティスト。
まず500号という巨大なカンバスに圧倒されるが
何よりもその溢れんばかりの色彩の“るつぼ”と
大胆な構成、思いのたけをぶつけたような勢いに息をのむ。
戦後の新聞記者時代に岡本太郎を取材したことが
強烈なシンパシーとなって、
40歳ごろから本格的に絵を描き始めている。

実は強力な味方が石山朔さんにはある。
「石山朔と彼の作品が
世界中で愛される芸術的遺産として認められるようになること」だけを
目標にしたプロジェクト「S.A.K.U. PROJECT」である。

イギリスに住んでいる孫であるエリス夫妻が
「祖父の絵を世界中の人に見てほしい」一念から生まれた
朔さんの孫と奥様を中心として家族6人の
“地道”なプロジェクトだ。
彼らにとっての「世界一自慢」のグランパ、朔さんは
2004年、このプロジェクトによる初仕事の個展を群馬県・高崎市で開催。
衝撃的なデビューを果たす。
多彩な趣味と豊富な経験(失敗と挫折も含めた)が
深い闇と弾けるような色彩の乱舞に反映されている。
面白いのは朔さんの「捨てられない癖」だ。
カンバスからはみ出た絵の具を取る綿棒も捨てずにケースに入れて置いてある。
展示されている膨大な極彩色の大量の綿棒は、すでにアートと化してした。

「奇跡の三人」は「老い」を超越し、痛快なほどにセオリーを吹き飛ばす。
それは「ポップ」などという陳腐な表現では収まり切れない「無心の愉楽」だ。
もし、若手現代美術作家との合同展だとしたら…
彼らに勝ち目はない、
ほどに、鮮烈なジジババなのだ。

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