ネオ工芸か、ダダ工芸か…「御獣(おけもの) 染谷 聡展」

Category : 現代美術シッタカぶり
おけもの1

おけもの2

おけもの3

8月4日→8月29日【イムラアートギャラリー】

御獣「太郎と花子」に出会った時(2009.3.29)の
軽い目眩にも似た脱力感。
それは或る種の“愉しい裏切り”や“思うツボ”との対面。
そして再会…。
お会いしたかった作家が今回は会場に居らしたこと幸い。
自分の漆作品は「工芸的」であるどころか
「工芸」そのものと考えておられる。
漆の持つ“様式美”やその風情が醸し出す“伝統美”というものに
がんじがらめになっているアタマには、
確かに“理解不能”で“奇怪”なオブジェではあるが
その留め金を外してやると、とたんに楽しくなるのだ。
だからギャラリーへは、引き出しの鍵を全開し、蝶番に油を差し、
ふにゃふにゃにしてから行くことにしている。

かつて「工芸もの」には市井の人々の暮らしぶりが
日記の挿絵のごとく描かれていた。
その“でん”でいけば、
このまがまがしい「お椀からの物体X」たちに記された
イラストやマーク、キャラクター、パターンは
作家本人が辿った“記憶”であり“記号”であるから、何ら矛盾は無い。

僕は密かに、勝手に「漆彫刻」と呼んでいるが、
その漆彫刻に作家の思いを“ペースト”しているわけだ。
危険なのは“あるべき姿としての漆”
(漆に限らず伝統工芸的なるもの)として
勝手に完結させてしまうことではないだろうか。

誤解を恐れずに言えば漆も「表面処理」の一方法であり
「素材」のひとつであると。
だからこそ漆にしか出せない独自の繊細な表情に
多くの人が魅了されるのではないか。
それが或るモチーフを得て、活き活きと動き始める時
「染谷的漆」とも言えるスタイルの確立になるのではないだろうか。

新作も含めて、会場はアレンジされた神棚や祈祷、
「憑きもの」を連想させるしつらえが施されている。
今回はドローイングが展示されている。
作家本人がリスペクトする“手塚風”ドローイングは 二次元から、
どう立体化されたかという“悩ましさ”も秘めたもの。
あくまで「原画展示」というコンセプト。

「遺産」をテーマに展開された過去のシリーズから
より日本の風土性を意識したものへと変化していく中、
一貫した「染谷的企み」にハマっていく愉しさを
これから先も味わっていたい。




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