生きるか死ぬかではなく、どう死ぬか…「TOKKO 特攻」

Category : ドキュメントDVD
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監督:リサ・モリモト

ニューヨークで生まれ育った日系アメリカ人女性監督が、
自分の叔父がかつて特攻隊員だった事実を知り、
日本で“生き残り”と言われたかつての隊員4人にインタビューする。
あのKAMIKAZEは言われているような
狂信的な“命知らずの若者たち”だったのか。

「神風」とは三省堂のweblioによれば、
「危険を救おうとして神が吹かせる激しい風。
特に元寇(げんこう)の際、元の船を襲った大風。」とある。
これが後に特攻隊に命名したことから
「無謀で命知らずなこと」と言う意味で捉えられてきた背景がある。

61回目の終戦記念日を迎えた。
還暦の人達がもはや記憶にない太平洋戦争をどう後世に伝えていくべきか、
毎年この日を迎える度に強く思う。突き詰めれば時間の問題…。
“どう伝えるか”も含めて、
戦争がもたらすものを知るべきなのだ、もっと強く、もっとはっきりと。

学徒動員。
学生たちが戦争に関わること自体が、すでに異常な状況だ。
これもナチスの労働奉仕にならって、
精神主義的教育と合わせて1944年に閣議決定される。
中等学校以上の男女は徹底的に工場に配置されることになり、
翌年3月には一年間の授業を停止して
学徒は軍需生産、食料増産、防空防衛に動員される。
そのために空襲その他で10,966人もの「若い魂」が消えることとなる。
これには8,953人の原爆死亡者も含まれる。
そしてさらなる悲劇「学徒出陣」。
長い戦争のために下級指揮官が不足して、
軍が目をつけたのが軍事教練が課せられていた学生たち。
本来学校に在学中は満26才まで徴兵を延期されていたのが
まさしく背に腹はかえられないと徴兵猶予を全面的に取り消す。
決定いた東条英機内閣が決めたお題目は「国内態勢強化方策」。
どこが「態勢強化」なのか…。
これは「態勢不利への焼け石方策」に他ならない。
(無謀への怒りよりも、この選択肢に言葉にならない悲しみを覚える)
よく映像で見る明治神宮外苑陸上競技場での雨の中の壮行シーン。

やがて、これら“国の財産である若き頭脳”は見事にくだけ散る。
リサ・モリモトが取材した一人の学徒動員経験者は言う。
「大学生だった知識を持ってして、勝てるはずのない戦争」
「学問研究」と「お国のために」のジレンマの中にあって、
すでに「勝てない戦争」を冷静に確信してしたのは
何より大学生たちだ。

最終ラウンドを迎えるにあたり、
ここまで来てタオルなぞ投げられるかとばかりに
まだ演習時間もままならぬ3,000人もの少年飛行兵も
特攻に“仕立て”上げ、あがき、もがく。

さらに悲しいのは
彼らの「死ぬ覚悟で結ばれた強烈に堅い絆」だ。

竹に紙、柿渋を塗った燃料タンク。
もう「尽き果てた」も同然ながら
「片道だからこれでいいのだ」という無責任と軽視。
ガソリンに松ヤニを混ぜて、飛行機は駆逐艦に体当たりする。
その向こうにある“あの世”への旅。
故郷への「英雄」という大きな形なき錦を土産に…。

「人の命など紙切れのようにしか感じていない」
「あれは犬死だ」
「何のために戦争をしているのだ」
「もう半年前に戦争を辞めるべきだった」
「ヒロシマ、ナガサキの人たちのお陰で今、自分たちは生きている」
インタビューの中で訥々と語る特攻経験者たちの言葉。

そして初めて聞く話もあった。
アメリカの(高機能)戦闘機コルセアの攻撃や敵の戦艦の
対空砲撃の雨の中をくぐり抜け、
さらに敵艦に体当たりすることなど不可能だ。
集中砲火から奇跡的に逃れた二人は
「帰ろうや」「おう、そうしよう」…。
残り少ない燃料でなんとか島に不時着。
そして生還。
だから語ることのできる“今”もある。

どこまで確かは不明だが、
4,000人の特攻隊員が沈めた船は40隻というデータ。

監督は自らの血縁が黙して語らなかった事実を、
自分なりに検証したかった。
それは同時に自分たちが教えられてきた
「KAMIKAZEとは自爆テロである」という“断定”への疑問。
このドキュメントは、その“正体”を証し、
当時青年であった彼らの心の声を、本音を引き出す。

現場に居た人の言葉はやはり重く、悲しい。
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