全ての未来の祖母たちに祝福を…「やなぎみわ 婆々娘々! Miwa Yanagi Po-po Nyangnyang!」

Category : 現代美術シッタカぶり
みわ

6月20日→9月23日【国立国際美術館】

竹の生命力を表現したという、
魅力に乏しい外観の国立国際美術館。
竹というより、寄り集まった「きれいな廃材」。
「気負い」すぎた感のある外観は美術館というよりパビリオン。
エントランスに派手なコンパニオンがいたら似合いそう。
やっぱりシーザー・ペリは超高層ビルがお家芸のようだ。

夏休み中に来るのは避けたかったが
「見たいものは見たい」の心境には忠実に従う。
子供連れの多い中、落ち着かない気分のまま…。

先日、実物を見る前に日曜美術館でやなぎみわの特集。
予習的な感覚。
いつも歩いている鴨川べりの本人へのインタビューシーンが印象的。
京都在住でありながら、やなぎみわは「ほとんど意識せずにいた」という鴨川。
僕にとっては無くてはならない五つ星なのに…。

関西で7年ぶりの本展では2000年から始まる「My Grandmothers」シリーズと
2004年~2006年にかけての「Fairy Tale」シリーズ、
それにヴェネチア・ビエンナーレに出品される今回の“目玉”である
「Windswept Women」シリーズ(5点)が展示。
その数はのべ47点にも及ぶ。

この3つのシリーズはそれぞれ、しりとり的な展開を踏みながら
より“力強く聖なる性”としての女性像をくっきりと明快に示してみせる。
特に「My Grandmothers」シリーズは
モデルとなる女性が半世紀後の姿に扮し、それぞれのシチュエーションも含めて
とても凝ったつくりになっていて、見る者を飽きさせない。
それは作品に添えられた“想像されたストーリー”の魅力に通じる。

「湯布院からの脱出。ロス行きの飛行機に乗ってアメリカ縦断、石油発掘の旅。
若いボンボンが運転するサイドカーに乗りながらべガスで作った金の入れ歯を
光らせて、満面の笑みで疾走する金髪婆さん」

なんとも爽快、痛快、愉快な設定があるかと思えば、
自分の跡継ぎを探す、子供相手のいんちき占い師や
女王と呼ばれた伝説のプロのセックスサービス人。
深い森の中で誰に聴いてもらうわけでもない琴を弾く人、
イビサ行きの機内で虚ろに窓の外を見つめる老婆、
人生の最後にとことんつき合う「看取り屋」稼業。
生前に作ったステージ付きの墓でポーズをとる元スーパーモデル…

現代に生きる彼女たちが受けるであろう厳しい洗礼は
老いていくという現実。
男も同じなのだが、ここではその決定的な違いが提起されているように思える。

女であるという特化した部分をポジティブにとらえ、
決して前へ進むことをやめない彼女たち。
少女と成熟した大人の女、達観した壮年、
シワの一つひとつに刻まれた老年が入れ替わり現れては
フェードアウトする。
一人の女の中にさまざまな顔があり、主張が潜んでいる。

高さ4メートルにも及ぶ「写真立て」に収まった「Windswept Women」シリーズ。
若い女性がしなびて垂れた乳房、年配の女性は巨大な乳房をつけて
大地にしっかりと足を踏ん張りながら空に向かって咆哮している。
それは歓喜と開き直りとも思える威勢の良さ、凶暴なる母性を突きつける。
テレビではその撮影の模様を追っていたが、
やなぎみわの役割りは、いわばCD(クリエイティブ・ディレクター)。
特殊メイクアップ・アーティスト、ジオラマをつくる職人、
コスチュームをデザインする人、カメラマン。
当然撮影に関わるスタッフを入れると相当数になるであろう全てを
取り仕切り、自分の創造の産物をこの一葉に込めるのだ。

作品のあり方そのものがインクジェットプリントとという技法によって
大きく変革した事実は承知の上で、
もう少しコントラストの強い「調子」にしなかったのなぜか。
やなぎみわの想定内であるならば、残念な気もする。
全体にボケてしまっている。
背景を“見せすぎない”配慮か…。
フライヤーとのギャップがあまりに大きいのが残念…

ともあれ、ヴェネチア・ビエンナーレでの絶賛は想像に堅くない。
作品のクオリティをうんぬんする以上のインパクトを放っているのは
間違いない。
女性としての過去、現在、未来を、
生きて、生き抜き、生き続け、燃焼すること。
それは歴史や宗教や人種や環境に裏付けされたイデオロギーを越えて
とてもインターナショナルで、“普遍的”な出来事。

ここにある「女性」の「女生」は、
どれも逞しく、美しく、しなやかで、開放的だ。
男どもはここに来て、やはりひれ伏すしかないのだ。


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