カップの底の暗澹たる澱…「おいしいコーヒーの真実」

Category : ドキュメントDVD
コーヒー

監督:マーク・フランシス & ニック・フランシス

ここの公式サイトを覗けば、詳しい情報はわかる。
この映画にはひとつの確固たる目的があるということもわかる。
この上映を通じて最終的には「フェアトレード」について考えましょう、
というためのツールとして映画は機能している。
いや、機能できたら良いと…。
啓発だけで終わっては何も解決しないのはわかる。
なにしろ、世界のコーヒー市場を支配している4大企業である
クラフト社、ネスレ社、P&G社、サラ・リー社とも
一切の取材に応じていないというのだから。
その実態も正体も、搾取する側は当然の如く、
見ざる言わざる聞かざるだ。

農協の倉庫には山と積まれたコーヒー豆。
市場価格の上昇をひたすら待ち望んでいる。
コーヒーの需要を調整してきた国際コーヒー協定は1989年に破綻した。
ヴェトナムなどが新たにコーヒー豆の栽培を始めたことや
過剰生産がたたり、コーヒー豆の価格は30年前まで落ち込んでいる。
エチオピアのコーヒー農家は家族単位の小口ばかり。
互いに協調し、情報交換や相場を認識する状況にすらないものだから
豆を買う方も足元を見て、むちゃくちゃな値で買う。
コケにしまくっているのである。
この“コケ”が企業に獏大な利益を産む。

本来、生産する者は“提供”し、提供される者は正当な価格で“購入”する。
そこに働くのは本来ならば“健全な取引”であるべきもの。
生産者は何のために栽培するのか。
当然生活するためだ。
売れば売るほど赤字になるような商売なぞしない。
しかし、この畑はコーヒー豆にしか向いてない。
だから値をたたかれても売るしかない。
生活は困窮を極める。
きちんと仕事をした者が報酬を得られないのは
利益の殆どを彼ら大企業がぶんどってしまうからだ。
どうなれば解決するのか…答えは至って単純。
「利益分配を平等に」。これ以上でも以下でもない。
国有の土地を一生懸命耕しても農民はわずかなシェアしか得られない。
大企業はもはや生産者なくして成立しないはずなのに、
完全にないがしろにしているのだ。
これら4大企業に「企業倫理」たるものがあるとするならば
それは「搾取」の二文字しか無い。

「利は元に有り」と言う。
苦労して大きくした会社のオーナーが言いそうなフレーズだ。
普遍的な商売哲学かも知れない。
しかし、“無理に見合う”だけの報酬があったはずであり、
それこそが市場倫理であり、持ちつ持たれつの関係を作りながら
互いに共栄共存していったはずである。
誰もが生きるために“取引”しているのだから。

現状は悲惨極まりない。
一家の家長が生業としているコーヒー園をもう子供たちは引き継がない。
「全てをダメにしたのはコーヒーなんだ」という子供の言葉に
ここがコーヒー発祥の地であり、
最も上質な豆を生産しているという自負も誇りもすでに無い。
父親の心境たるや、複雑だ。
あるのは畑のために学校へも行けず、犠牲になった子供への思いと無念さ…。

エチオピアはオロシア州、農協連合会のダテッセ・メスケラは農民に問う。
「西欧諸国ではコーヒー一杯がいくらするか知っているか」
「知らない」
驚きである。自分たちが作っている最高級のコーヒー豆が
コーヒーになった時、いくらに“化ける”のかすら知らないのだ。
現地では豆1キロで2ブル(0.24米ドル!)が相場。
1キロで80杯のコーヒーができる。
西欧では80杯で2,000ブル(240米ドル)といったところ。
仕入れ値が店売りの1000分の1!
教育と栄養のある食事を摂るためにはキロ当たり10ブルでないと無理だ。
これではまさしく「働けど働けど」だ。
女性たちがする工場での大量のコーヒー豆選別の仕事
(目で見て指で悪い豆を取り除く)も
一日8時間労働の報酬はでわずか0.5米ドル…。

世界で消費されるコーヒーは一日当たり20億杯以上。
地球人はコーヒー好きなんである。
コーヒーが発見されていなければ、
憩いも潤いも、そして成就しなかった恋もあったかも知れない。
しかしてその流通は容赦ない荒稼ぎに終始している。
特定の人が好む嗜好品とは違う大量消費の製品だけあって
何もかもケタ違いだ。

悲しいことに20年来、コーヒーを栽培していた農家は
限界に達したようで、チャットという「麻薬植物」を
育てて売ることを決意する。
このチャットの方が高く売れるのだ。
現金が欲しいがために…。

エチオピアは毎年700万人が緊急食料援助を受けている。

アフリカの輸出シェアが1%増えれば、
年間700億ドルの創出になると言う。
それはアフリカ全体が現在受け取っている援助額の5倍(!)に相当する。

最近のニュースではあのスタバが
フェアトレード商品を店頭に置くことにしたらしい。
が、これは率先したわけでなく
抗議した団体などに配慮してやむなくそうしたに過ぎない。

期間限定でマクドナルドが朝の1時間のみ、コーヒーを無料にした。
ちなみに至って好評なマクドナルドでのコーヒー豆は
グアテマラ・コロンビア・ブラジル・エチオピアのアラビカ種100%だそうだ。

さて「フェアトレードって何だ?」から初めても遅くないかな。



スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

58カ国語に翻訳
English
お越しいただきありがとうございます

den

………………………………………
アート・ドキュメント・ブック・
ミュージック・演劇・ダンス・
朗読・時事・ひがみ・そねみ・
やっかみ・おせっかい…
などなどシッタカぶって書きちらかしては
自己嫌悪な日々をゆらゆらと
過ごしております。
「シッタカブリアンの午睡」
「デラシネ光合成」をこのたび一本化。
言いたがり、やりたがり、ノリたがりな
のんのんとしたブログにお越しいただき
ありがとうございます。
………………………………………

ここから、また…
最近の書き散らかし…
こんなこと書いてます
こちらへもどうぞ!