観察しよう、そうしよう…「理科室の音楽、音楽室の理科 少年少女科学クラブ」

Category : 現代美術シッタカぶり
少年少女
Ephyra N° 6 / 2005


りっせい

8月4日→8月30日【京都芸術センター ギャラリー北・南】

内臓カタカタ人体模型。
埃まみれの標本箱。
アルコールランプと石綿君。
なんでも見たがる顕微鏡。
シャーレー、ビーカー、試験管。
中を知らない百葉箱。
ピンセットで開くカエルくん。

理科室は焦げたような匂い。
教材室はすえた匂い。
チョークは粉っぽい匂い。
図書室には紙虫の死体。
音楽室はベートーベンのデスマスク。
誰かが破った小太鼓。
レが鳴らないピアニカ。
グランドピアノにかかったベルベットのカバー。
その先の金のモール。

理科も音楽も苦手だった僕が、
今、一から勉強してみたいもの、
それが理科と音楽。
どちらも好奇を促す“仕掛け”がたっぷりと秘められているはずなのに
授業をルーティンワークにしてしまった先生のおかげで(今だから思えるのだが)
すっかり嫌になってしまい、
もはや化学式や楽譜は僕にとっては暗号になってしまった。

長い木製の共鳴箱の表面に見えるのは大きな音叉。
規則的な間隔で内部のハンマーが音叉を叩く。
その両端には水銀が封入された細長いガラス管が収まった小さな木箱。
内部のモーターに取り付けたカムによって
ガラス管が少しだけ傾く時のカタっとする音。
慎ましやかなのに運動をやめようとしない意地。

「ジェイコブズ・ラダー(ヤコブの梯子)」とタイトルされた作品。
ティム・ロビンス主演のサイコ映画を思い出す。
ヤコブの梯子とは雲の合間から太陽光が帯状に見える(よく宗教画に見られる)
自然現象で、神々しさのアイコンだ。
2本のピアノ線と中に位置するガラス管。
ブーンといううなりと共に高圧電流の火花が管の中を上昇する。
それはドク博士の研究室になければならないアイテム。
後ろで誰かが起き上がる…人造人間の誕生だ。

この他にもさまざまなインスタレーションが
過去に学校として見えない子供たちの足跡をしっかり抱えた
そんな空気に満ちた空間で繰り広げられる。

「科学」というより「理科」に近いポジション。
シンプルで、とても合理的な“器”に閉じ込めたそれらは
物体とそれにまつわるあらゆる現象を
淡々としかし、誠実に演じてみせる。
僕たちがそこに釘付けになるのは、
そこに“アート”の衣をまとった新しくて懐かしい
彼らの「自己紹介」を見るからだ。

見る人は、ここで“ささやかな発見”をして
“お茶目な実験”の観客になる。

英語タイトルは「TUNE/LABORATORIUM」
ラボラトリウムとは錬金術師の実験室を意味するという。

アートもまた「限りなき探究心」の所産なのだ。



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