「 彌永 ゆり子 個展 」
Category : 現代美術シッタカぶり

2017.10.24~10.29【 KUNST ARZT 】
大学では油画専攻。これは彌永さんにとってのいわば違和感の所産。筆を、幼少の頃からのタブレットのペンに持ち替える。やっぱり私はこれ。例えば完成された絵に見るであろうマチエールはテーマや色彩に意図するしないに関わらず鑑賞者に“時間”を意識させる。ここでいうストロークとはもしかしたら多様なペンツールを指すのかも知れない。ディスプレイに現れては消え、瞬時に上書きされ、痕跡をわずかに残しつつ変化する「絵」が時間そのものを表出している。かなり長い時間見いった3つのカート・コベイン(ウィキ表記)の作品。無論リアルタイムでのニルヴァーナを知らない彌永さんは後追いだが、このモチーフに世代を越えたカリスマ性を見る思い、単純に嬉しい。絵画の形式をとる或る手段として油画で描いた額縁をディスプレイに施すという、いわば第二の肝とも言うべきこの見せ方に彌永さんの矢印が見えてくる。人がやっていないことをする、というよりは、考えてみたら素直にこうなった、といった愚直な道筋 ≒ 過程は20数年前のペインティングソフトを使うことで、リアルさへの制御をかけながら、自身の表現へ向かってゆるやかにアクセルを踏んでいる。

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