古典ぱんに料理された裏メニュー…「狂言風オペラ 魔笛」

Category : パフォーマンス見聞
魔笛

10月7日【京都府立文化芸術会館】

狂言はおろか古典芸能とオペラは、僕から一番遠くに居る“高尚な”芸術。
「ドン・ジョバンニ」「フィガロの結婚」に続く今回で3回目となる演目は「魔笛」。
大阪、福井、岐阜、東京と巡回する初日。
大入り満員である。平均年齢はかなりお高目。

演奏はヨーロッパ有数のアンサンブルとして高い評価の
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン管楽ゾリステンの面々。
管楽八重奏にコントラバスの9人編成だ。

出る前に急遽ネットで仕入れた制作側のインタビュー記事をポケットにねじ込み、
台風接近中の雨の中を自転車を飛ばす。
まずはストーリーの予習をと思い(かなり脚色しているようなので)
会場でプログラムリーフを読み込む。

狂言を知らぬ者としてはセリフがわからないのでは、という懸念は
見事吹き飛び、タイミングよく入るギャグも(ややイタいが)
効果的にお客さんを笑わせていた。と言うよりほぼ前編、
あちらこちらでクスクス…。
茂山一門のファンもかなり居ると見える。
いや狂言ファンも全体でかなりの割合であろう。
それらの“通”な方々が番外編として
茂山一門の“イレギュラー”な芸を気を楽にして楽しみに来ているような
雰囲気が会場に漂う。

演奏は完璧そのもの。実に気持ちよい。
このゾリステンだけのコンサートだったら…寝てしまっただろう。
それほどに心地良い。
音域が人間の声域に近いせいなのか。
この管楽ゾリステンのメンバーと演奏に加わる鼓の中村寿慶も
話に巻き込まれる。これが面白い。
鼓の中村氏(恰幅がよく羽織袴がよく似合う!)が差し出すドイツワインを飲む太郎冠者。(本物のわけ無いが、あえて役者に「ほんもんは旨いわぁ」なんて言わす)
やがて管楽ゾリステンもそれぞれグラスを出して太郎冠者は注いで廻る。
そのうち酔ってきて、音程フニャフニャ…。
演じている方も楽しんでいる様子が伝わってきて、とてもリラックスできる。

3回も共演している気心の知れた関係が見てとれるものだった。
これは完全なる「娯楽の提供」だ。
多分1、2回とも大きな差はなかったのだろう。
ドイツ文化とか日本芸能とかの枠自体も取っ払った新手の娯楽だ。
だから当然どちらのファンにも苦言を呈する人が存在するだろう。
でも魔笛も、そしてモーツァルトも
こうして出刃包丁でざくざく大胆にさばくことで
どちらにも想定しきれないエンターテイメントという
新しいメニューが誕生するわけだから、それはそれで価値のあることだと思う。

茂山千之丞という、とんでもない人も…セリフは忘れることもある。
「えー、何を言っているのやらぁ…」とつぶやきながら下手に去っていった時、
それを追う若手の童司の「僕はどうしたらいいんでしょう…」のひとコマに場内大爆笑。

それぞれの“崇高な技”と裏腹の“お茶目さ”に大いに楽しませていただいた。


スポンサーサイト

Comment

サイクリングと狂言と 三連休大いに楽しまれましたね!
非公開コメント

58カ国語に翻訳
English
お越しいただきありがとうございます

den

………………………………………
アート・ドキュメント・ブック・
ミュージック・演劇・ダンス・
朗読・時事・ひがみ・そねみ・
やっかみ・おせっかい…
などなどシッタカぶって書きちらかしては
自己嫌悪な日々をゆらゆらと
過ごしております。
「シッタカブリアンの午睡」
「デラシネ光合成」をこのたび一本化。
言いたがり、やりたがり、ノリたがりな
のんのんとしたブログにお越しいただき
ありがとうございます。
………………………………………

ここから、また…
最近の書き散らかし…
こんなこと書いてます
こちらへもどうぞ!