反射する水面のレイヤー…「鶴田憲次展 -niwa-」

Category : 現代美術シッタカぶり
鶴田1

↑遠目に見る


鶴田2

↑寄って見る

鶴田3

↑さらに寄る(!)

鶴田5



10月20日→11月1日【art space 東山】

<鶴田憲次の作品は、点描のように細かいドットの集積により
スーパーリアリスティック絵画を展開する作家です>と紹介している一文があるが、
これはいささか的外れである。
ドットの集積ではなく、
僕などは「等高線」の重なり、または色相の重なりと考える。
点描とも違うのだ。
それは目には見えない時間のレイヤー。

実物を見た瞬間の驚きはしばらく脳裏から離れない。
しかしソフトである。もっと言えば“Magic”である。
手法や技術の話をする以前の作家自身の
「そこにある空間を共に構成する時間」への
途方もない分析と透視力である。

鶴田氏は鉱物や化石の研究採集をされていて
“その世界”では広く知られた方だという。
それらに閉じ込められた時間は
手にとる、その人のイマジネーションの中で解凍されていく。
長い時間をかけて同化し、沈黙の世界で永遠の眠りから
揺り起こされた化石は、逆算されて時間(とき)の可視化を果たすのだ。

鶴田氏の言葉である。

いつも私の興味は現実の向こうの果てしない空間と時間に注がれている。
子供の頃よりずっと鉱物や化石、植物の中に見える何かを見続けている。
近年は水の中に何かを見続けている。その姿・色・形を美しいと思うだけでなく、
そこに見える空間・時間を体感している時が何とも心地よい。

会場にかかった作品は失礼な言い方を承知で言えば
“ひとつで三回おいしい”絵である。
遠近、接近、至近からの印象が全く違うのだ。
先も述べた点描との違いに気がついた時の驚きは
かなり新鮮で衝撃的だろう。
遠くから段々と近づいていくにつれて
人間の目の“お人よし”加減にあきれる。
しかし、単に騙されたとは思えないのは
そこに描かれたシーンが活き活きと呼吸しているからなのだ。
せせらぐ水、水紋の揺らぎが絶えることなく、
カンバス自体が“波動”している。
こんな絵は見たことがない、などと言うと
何を大げさな思われるかも知れないが、正直な感想である。

先のギャラリー恵風での水口氏の絵に通じるものを感じた。
もちろん絵そのものの印象はそれぞれに違うのだが
お二人の絵からは、対象そのものの把握と、
対象への畏敬と、対象との親密な関係が
ひしひしと感じられる。
聞けば鶴田氏は水口氏の“師匠”であると言う。なるほど…合点がいく。

僕は一筆ごとに離れて見るのかという有り体な質問をしたところ
ほとんどカンバスに寄って描いていると言われた。
頭の中で色の組み合わせと完成形が見えているから、とも…。
失礼ながら、この方には対象がどのように見えているのか確かめたくなるほどだ。

上手な絵や精緻な絵と、どう違うのかを
機会があったら実物を観て実感していただきたい。

見たままの意味のリアルではなく、
ここには明らかな「超体感」がある。


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