たわいなさの再確認…「意図的な偶然展 牛島光太郎」

Category : 現代美術シッタカぶり
牛島展示1

牛島展示2

牛島3

11月2日→11月5日【京都府立文化芸術会館 2階展示室】

文化の日にちなんだ
「ポエトリーリーディング」「インスタレーション」「ライブ」の3点セットで
展示室をカイホウするという会期4日間のイベント。

日記風な、ちょっと懐かしくもある昔から、つい最近の出来事に至る、
でも心に引っかかる、
そんな“身の丈”のエピソードが丁寧に生地に刺繍されている。
作家自身が実際に経験したことを文字化して読ませる。
刺繍された生地は置かれていたり、吊られていたりだが
共通しているのは、その事象にからむ“器物”が置かれていることである。
これで立派なインスタレーションとなるわけだ。

何も難しく考えることはないと思う。
こういう形で面と向かって来られると、たじろぐこともあるが
何、単純なこと、と割り切って観よう。

たとえば扇風機に関する話を読む。

「小学生の頃、扇風機の前で、声を出して遊ぶのが流行った時期があった。
声が震えるのが面白くて、それが宇宙人の声だと言って友人と遊んでい
た。その年の夏、密かに地球で暮らす宇宙人という設定で、何時間も友
人と扇風機の前で遊んだ。
それから10年以上経った、ある夏、テレビを見ていると、外国のニュー
ス番組の中で、未確認飛行物体が映ったという特集が放映されていた。
特集の最後でコメンテーターが、「宇宙人なんているはずがないんですよ」
と言った。
その年、何度も折れてはボンドでつけ直していた扇風機の羽がとうとう
つかなくなってしまい、買い替えることにした。
電気屋に行くと、店員が私に、「これからのことを考えるのなら、扇風機よ
りもクーラーの方がいいですよ」と言った。(改行も原文のまま)


床には実際に扇風機が回っている。
前に吊られた生地がふわりと風にそよぐ。
それが過去の話と現実をつなぐ手立てとなっている。
生地に刺繍がほどこされている文字は、
まるでキルトのように、ある“執念”さえ漂わせる。
話がたわいなくとも、ひと針ひと針縫われた文字は
じわじわと生地と一体化し、イメージの中で立体化していく。

先のような話が5つ。
置かれているのは、それぞれの話にまつわる
クリスマスツリー、天体望遠鏡、カーテン、シャツ、そして扇風機。
やはり最後まで読んでしまう彼のエピソードは魅力的だ。

大学では彫刻クラスだけに過去には
制作したオブジェと文字との“絡み”が
絶妙な間合いとバランスを醸し出す作品を発表してきた。

今回は全て「レディメイド(既製品)」に
記憶ないしは過去の記録をあぶり出す装置としての役割を
与えているように僕には見えた。
過去のオブジェとは完成度という点においては
ややひけをとる印象もあるが、
“製品”と“日常のできごと”との間にある
観客を“行きつ戻りつさせる”テンションは楽しい。


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