欲望を映す電脳鏡…「岡 本 光 博 P o A 」

Category : 現代美術シッタカぶり
ザッピング

3月2日→3月14日【ギャラリーはねうさぎ room4】

新しくOPENしたギャラリースペースのこけら落とし企画展。
「PoA(portrait of America / Americanization)」と
「Zapping」の二つの作品。

TVが垂れ流す“見えるかのような”情報を
真剣に信じる人はもはや居まい。
街頭テレビの時代から半世紀。
かつてテレビからの情報は人々の共有物であったはずであり、
そこで一喜一憂する至って健全な風景が繰り広げられていた。
今や毒気すら抜かれたテレビは
ただの虚無的な電化製品でしかなくなった。
“伝える側”に知性と分別が必要であることすら
とぼけてごまかす制作者たちを断固断罪すべきである。
とは言ってみても、寒々しいのは
「見なければよい」という明快な結論に達するのが怖いからなのだ。
3Dテレビ…まさか雛壇でちゃらけたコメントでギャラを稼ぐ彼らの顔を
立体的に見るわけでもないが、どう見えるかなどということより
どう見せるかということが追いついていない現状では
テレビはもはや「電波大道芸」の紙芝居。

CIMG0991.jpg

↑各国のTVガイド。赤地に白のロゴの仕様はやはりアメリカものをベースにしている

テレビは1937年にイギリス、1941年にアメリカ、
その12年後の1953年に日本で放送が始まった。
それからほどなくアメリカホームドラマの波が一気に押し寄せてくる。
ところで、アメリカで最大規模の売上げ部数の雑誌は何だかおわかりだろうか。
それは驚くことに日本での放送開始の年に創刊した「TV GUIDE」である。
ちなみに日本版は1962年創刊。
リーダーズ・ダイジェストと並んで
サイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)の
大きな情報源となっているとんでもないお化け雑誌。

岡本氏はニューヨーク滞在の折りにこの「TV GUIDE」の表紙を
キャンパスにアクリルで描くことから始める。
当然表紙には文字情報が踊る。
そこで、ふるいにかけてそれらを落とし、
タイトルとモデルのみを抽出して描く。
それこそがグローバル・スタンダード化したアメリカの顔であり、象徴であるからだ。
モンスターメディアのシンボル。
2000年以降は表紙をスキャンし、文字を消すなどの加工を施している。
今回展示されているものがそれである。
興味深い裏話。
肌も露なブリちゃんやカイリー・ミノーグに
にかかる文字を消す加工にはおのずと限界がある。
そこで同じポーズを女性モデルにとってもらい、それをはめ込むという
消す手間とはまた異なる凝ったことをなさっている。

CIMG0989.jpg

CIMG0987.jpg

CIMG0985.jpg

↑ビジュアルはどれもちょっとだけエロいというのが共通項だとか

テレビのリモコンをZapperと言う。
そこでテレビ番組を矢継ぎ早に変えていく行為はZapping。
民族の特性やメンタリティといったものとは無縁のところにある
インターナショナルな感覚。
会場には一台の壁掛け液晶テレビ。
短いホワイトノイズの後、番組が秒単位でめまぐるしく次から次へと変わる。
画面は作家が訪れたフィンランド、エストニア、ドイツ、スペイン、台湾、
そして日本の様々な番組で構成されている。
これはテレビと(厳密に言えば画面と)我々の関係性をいわば早送りで表現したもの。
期待と失望、まるでONとOFF。

どの観客自身にも存在する“性癖”に
おもわず苦笑するような独特の悲観性が漂う。


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