古代アニミズムと未来へのオーバーチュアの錯綜…「菅原布寿史 EXODUS山水 展」

Category : 現代美術シッタカぶり
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↑船体の隙間から覗いてみると石庭に映像が投射されている


3月16日→3月21日【MUROMACHI ART COURT】

昨年、制作会場でのワークショップ(デラシネ2009年10月26日にアップ)
お世話になった折りに、
会場にあった未完成のパーツを拝見して
一体どんな構造物になるのか楽しみにしていた個展。

菩薩像のアウトラインをシルクスクリーンで重ね塗りした板は
近くで見ても錆び付いた金属にしか見えない。
さらに銀箔を張り“時代をつけた”ような仕上がりになっている。
このパーツを組み合わせた巨大なオブジェはまるで合掌しているデザインの
過去からタイムスリップしそこなった搭乗員不明の宇宙船。
あるいはここからの脱出の手立てとしての母艦。
やや傾きかけた胴体はソフトランディングというよりも
轟音とともに突き刺さったかのよう。
表面の菩薩像はシンメトリックな文様として
エキゾチックな風合いを醸し出しつつ、
人類への啓示を携えて、僕たちの前に現れる。

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↑実に手の込んだ作り!かなりチャーミング

EXODUS(エクソダス)とはかつてエジプトで
奴隷だったイスラエル人のエジプト脱出を言う。
作家が狭心症で発作を起こしたことが契機で
死の意識を維持装置によって封印し、仮死状態のまま、
然るべき場所と時に再生しようという、
切実な観念が含まれている。
そのカプセルが会場に3体ある棺のようなオブジェ。
表面に作家自身のデスマスクが浮き出ているのは
作家の彼岸世界への想いを見事に投影している。
僕には小舟のようにも見えるそれは
実は亀石と鶴石の極端なデフォルメであった。
かつて日本庭園の作庭には必ず亀石と鶴石、
蓬莱山に見立てた岩が置かれる。
これは世界各国に例がある「石」が
霊的な意味を帯びていたことと関係する。
死への予兆を感じた瞬間にフラッシュバックしたイメージと
繋がっているのだろうか。
この重量感溢れるカプセルは実は片手で持ち運べるほどのもの。
“宇宙船”もこれも素材には日本画の伝統的な画材が使われている。
船内には割れた鏡がランダムに配置されて(いるように見えたが
実は映った映像を周囲の壁に投影させる位置関係にある)

川のせせらぎや走る光などが一瞬のホワイトノイズを挟んで
まだ息のある船体を彷彿とさせる効果を出している。
それはトラブったR2D2のようでもある。
高さ5メートルほどの巨体は、
京都のギャラリーではここしか置けなかったと言う。
京都芸術センターでの制作には
京都市内での展示が条件であるためである。

これらの決して手を抜かない緻密な作業の結果が
古代アニミズムを連想させる壮大な時間のうねりを造り上げた。


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