作家の解体と具体と絶対…「シュウゾウ・アヅチ・ガリバー EX-SIGN展」

Category : 現代美術シッタカぶり
2月27日→4月11日【滋賀県立近代美術館】

長髪で背が高いことからついた「ガリバー」氏は
御歳63になっても、かなりカッコいい。
フーテン時代はその容貌や行動から
メディアで取り上げられることも多かった。
団塊世代特有の“時代意識”や“自意識”の捉え方が
エキセントリックな勢いとなって、栓を閉めても蛇口から出てくる。
そんなどうしようもない“性(さが)”を感じつつ、
膨大な作品群を見て廻る。

ガリバー1

↑甘い生活/A.T.C.G./インターコース[東京バージョン]1993-95

ガリバー2

↑重量[人間ボール]1978

ガリバー3

↑De-story デ・ストーリー 1984


ガリバー4

↑S.A.G.銀行券/五十眼 1997

観客はこれらのスケッチ、絵画、オブジェ、インスタレーションを
見て安土修三という一人の「アーティスト」の
強烈な個性と発想と具体化の向こうにある
芸術哲学とも言うべき輪郭を知る。
リアルタイムで見聞きしたことのない僕らにとっては
若き芸術家の軌跡をたどるアーカイブであり、
同時に当時の時代背景に見えてくる彼の“ある規範”に気付く。
それはどなたも言っている「解体作業」だ。
己の感覚器官をこの解体に照らし合わせて
精力的に作品を作り続け、
自分をリトマス紙のように反応させてみせ、
観客を出し抜いたり、驚かせたりする。
そんな結構お茶目な作品もある。

すでに膳所高校時代に見られた行動美術へのアプローチは
立命館大学哲学科在籍中に当時京都に居たビート詩人の
ゲーリー・スナイダーや芸術家マルセル・デュシャンとの出会いにより
さらに表現に磨きがかかる。
最も有名な1973年から始まった「肉体契約」もその一つ。
自分の死後、身体を80のパーツに分けて、
それぞれ一人ひとりに保管してもらう契約を結ぶもの。
寺山修司や沢田研二の名前もあった。

3つのビンに入った自分の毛髪と血液と便。
それを芯にして作った大きな鉛筆。
それで描いたスケッチ。
人ひとりの「寝る」「座る」「立つ」最小のスペースを
直方体の3つの箱を組み合わせて中で240時間過ごし、
心臓の鼓動をイコライザーによってスピーカーから外部に知らせる
1984年の「De-story」。
アデニン・チミン・シトシン・グアニンという遺伝子を構成する要素を
記号化して様々な作品に反映させたもの。
突き詰めれば人間たるものを説明するのに十分な記号なのか。
自分と同じ重さの鉄球を椅子に置いた「重量[人間ボール]」は
シリーズ化され、最後はその鉄球をマリアナ海溝に沈めるという
パフォーマンスで完結する。
90年代以降は主にヨーロッパでの活動が多く、
謎に包まれた作家である。
解説を頼まれた親しい友人も、
何で食べているのかさっぱりわからない人、と評する。

ページをめくりながら、現代美術って面白いと読後感を語る。
そんな「ガリバー旅行記」を頭の中に携えてさまよう。
まだまだ最終章まで長い旅が続きそうである。


にほんブログ村 美術ブログ 現代美術へ
にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ


人気ブログランキングへ

↑クリックくれたらうれいしいな♪



スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

58カ国語に翻訳
English
お越しいただきありがとうございます

den

………………………………………
アート・ドキュメント・ブック・
ミュージック・演劇・ダンス・
朗読・時事・ひがみ・そねみ・
やっかみ・おせっかい…
などなどシッタカぶって書きちらかしては
自己嫌悪な日々をゆらゆらと
過ごしております。
「シッタカブリアンの午睡」
「デラシネ光合成」をこのたび一本化。
言いたがり、やりたがり、ノリたがりな
のんのんとしたブログにお越しいただき
ありがとうございます。
………………………………………

ここから、また…
最近の書き散らかし…
こんなこと書いてます
こちらへもどうぞ!