手にとる“光景体”…「シュヴァーブ・トム 展」

Category : 現代美術シッタカぶり
5月25日→6月6日【ART SPACE NIJI】

チェコ生まれ、カナダはトロントから3年前に
滋賀県・高島市出身の
カナダで出会った日本人の奥様と娘さんと共に京都へ移住。
作家はフリーランスカメラマンとして様々な媒体や
芸術作品などを撮影されている正に“腕利き”のテクニシャンである。
カナダでは美術大学卒業生に贈られる最優秀賞を受賞、
国内で一番に選ばれる。

会場に展示されている風景はその奥様の実家がある高島市。
HPによればご夫婦で高島市についてのプロジェクトを進行、
「消えゆく光景」と題した時代の変遷による失われつつある伝統的風景を撮影。
同時にインスタレーションに展開する試みを行っている。

CIMG1845.jpg

↑一生懸命日本語でコミュニケーションをとるトム氏。誠実な方である。

CIMG1855.jpg

↑日本画の裏打ちに使う和紙にプリントされたという風景写真。


会場には半分に割れた球体の内面にプリントされた
高島市の湖畔の風景。
プラネタリウムのようでもあり、
中に居ながら取り巻く風景を見ていると
胎内に居るような心持ちになる。
この風景自体は不思議と、まとまりを感じるもので
木々や水面、舟、車、犬のリードらしき物を持つ散歩者が
ミステリアスな異空間をうまく演出している。

当然ながら風景は一瞬で変わる。
そこに厳然と存在する自然界の造形物そのものすら
時間を切り刻んでいけば確実に変化している。
作家は言う。
「写真は境界線を越えて語ることができる」と。
彼はそのずれていく時間の“境界”を見事に繋ぎ合わせ、
一枚のパノラマとして新しい風景を作る。
パノラマとは言っても広角で撮ったものではなく
繋ぎ合わせてあるのことでライブ感が増す。

面白いのがそうして何枚も繋ぎ合わせた風景を
多面体の表面に組み上げた立体作品たち。
くるくると手の平で転がしてみると内と外の視覚的な逆転の波が
ひたひたと寄せてくる。
古い家屋を写したものは天井も床も壁も
この多面体に納められ、不思議と辻妻の合う一個の
「光景体」とも呼べる宇宙を見せてくれるのだ。

CIMG1847.jpg CIMG1851.jpg

CIMG1850.jpg

↑光景を外から見る…


僕たちの皮膚が外気と
時間の流れに沿うように僅かに変化し続ける光景とに触れる時、
そのただ中に居るというのはもしかしたら錯覚なのか…そんな無邪気な想像も楽しい、
笑顔の優しさが魅力的なトーマス氏の個展だった。

CIMG1858.jpg

↑訪れてみたくなる風景がある。


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