1ミリの寡黙な肉厚…「長谷川 政弘 展 - 白くて薄くて軽いしつらえ -」

Category : 現代美術シッタカぶり
6月15日→6月27日【GALLERY MARONIE SPACE 5】

2階から5階までのギャラリービル。
この最上階フロアは自然光も十分に取り入れ
コンクリート打ちっぱなしの壁面を持つ。
望むと望まざるとに関わらず、作品そのものが
この気配に呑み込まれてしまいそうな、そんな“場”。

1985年24歳の初個展から相当数の個展、グループ展、
コンクールにも多く出品されている。
またパブリックコレクションも京都、福井、鹿児島、宮崎、兵庫、
海外ではアラブ、スウェーデン、アルゼンチンなどにある。
「生命シリーズ」と題された一連の作品は
増殖する細胞や脈々と波打つ血管、細い線から力を秘めた面への
力の方向性が明快なもので、
生命体を構成する毅然としたフォルムを作品に反映している。
この他にも「恵みシリーズ」「cellシリーズ」「Casting Apples」など
「長谷川政弘金属彫刻」で検索すれば存分に見る事ができる。
ご本人も仰っていたが、かなり多作な作家であり、
創意に満ちたアグレッシブな人と見た。

「無表情に見える鉄・銅・真鍮・ブロンズも少し手を加えることで
いろいろな表情を見せてくれる。
加熱する、叩く、削る、溶かす、溶接する、そして研磨による輝き…。
いわば作家はその「金属の変容」に取り憑かれ、
そこに自由に力が撩乱する様を見たのだろう。
やがて置かれる「場」について意識を向け、
「そこに在ること」で変化し、人の心を呼び起こす「かたち」を追求する。
それは「蓮の葉のシリーズ」でひとつの答えを掴む。
葉のディテールづくりに妥協を許さない、
職人的に精緻さを求めるといったスタンスに“縛り”がかかったのかも知れない。

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↑棺の足の方向からパンチング穴を覗いてみれば…!

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↑ドレッサーの上には砂時計…遊び心も忘れない

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↑お気に入りカット。椅子の背の穴から撮ってみた。

新作は全く以前のものと金属そのものへのアプローチの仕方が異なっている。
その発想自体は極めてシンプルだ。
一枚の薄い紙は自立できないが、一回折るだけで立体へと変化する。
この面白さに取り組んだ「折り鉄」シリーズ(と勝手に命名)は
最初にふれたこの会場の持つ気配になんとマッチしていることか。
厚さほぼ1ミリ前後の鉄板を折って、リベットで接合。
“見た目”はテーブル、椅子、ドレッサーだが
当然座る事はできない強度である。
機能“できない”それらは決して自ら力を放たない、物言わずの寡黙なカタチ。
手前にあるのは棺か。
天面にクロスがパンチングされている。
この等間隔で打たれた正円のパンチングが共通のアイコンとして、
ここにある、白く際立っていながら不思議と透明感を漂わす
押し黙った家具(状)のような物の口を少しずつ開かせるのだ。
天井に近い窓から射す陽の光や壁面の冷たさが
舞台美術のような効果をもたらす。
「僕はあんまり考えません。思ったままを作ります」と語る作家は
その実、置かれる環境と作品との
見事なまでの折り合いをつけているではないか。

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Comment

こんにちわ。
まったくもってずるいなぁ。
もしかしてロコの人としてハワイでも自転車に乗ったのかなぁ。
そしてひとつの物をみてどうしてあんなに深い文章が書けるのか、とてもとてもまねは出来ません。
でも少し勉強したく思います。
金魚もいいなー。

写真展の題がいいですよねー!
本当に自分が乗ってもお人が乗っているのを観てもとにかく自転車が面白いことが分かって人生倍は楽しめるような気がします。
どんな写真展かブログ楽しみです!
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