奔放な、そして謙虚な色香…「 白子 勝之 exhibition 1 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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6月4日→6月27日【eN arts】

円山公園は八坂神社の北側、和建築のギャラリー。
週末3日だけのオープンという(オーナーが東京在住のため)
穴場的アートスポット。
僕が感心するのはこちらで開催される個展作品の完成度の高さ。
作家への深い理解とオーナーの現代美術への造詣が
ギャラリーの室温に静かに響いている。

そんなエントランスとも言うべき壁面に
まるでここのためにしつらえたようなオブジェ。
会場内にも3点同様のシリーズが展示されている。
まず驚かされるのが、シナ材と漆の調和。
バードカービングや能面などの彫刻にも使われるそシナ材は
密度が高いために強度もあり、何よりも木肌が美しい。
例えて言えば人肌のような温もりのある表情には、
ほのかな色気も漂うほどである。

自由曲線状に彫刻されたシナ材は塊から彫られたものだというが、
とてもそう見えないほどに伸びやかで解放的だ。
横から見るとよくわかるが、ラインとラインとのかすかな隙間に
作業の緻密さが表れている。
白子氏のアタマの中では、
すでに3Dでレンダリングされた完成図が出来上がっているのかと
思いきや、時折り予想を裏切る展開もあって、それも面白いと語る。
それにしても彫り込んだフォルムでありながら、その線の動きに迷いがない。
まるで木の精が目眩を起こしそうに壁で遊んだような軌跡。
この軌跡に沿うように漆部分が接合されている。
それぞれの質感の絶妙なバランス感覚、
言うならば比率がこの作品の決め手となり、醍醐味。
解放的でありながらなぜか、同時に美しい緊張も伴うのは
やはり漆の持つ“姿勢の良さ”から来ているのだろうか。

変わって台に乗った3点の立体。
このシンメトリックな造形も最初からこうあるべきと踏んで作るのではなく
パーツのポジショニングによって、結果的にこのようなカタチになったとか。
見方によっては仏炎苞(ぶつえんほう~仏像の後ろの炎のようなもの)にも
アノマロカリスや三葉虫のようなカンブリア紀の海中生物を思い起させる。
秩序ある整然と並ぶ爪のような牙のような歯のようなパーツは
漆でいう白と木とが交互に組み込まれたもの。

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漆は文字通りの漆黒と鮮やかで厳かな朱色が
それぞれ前へと出る“押し出し”の強い印象があるが
ここでは誠にもって謙虚である。
漆の白は樹液に白色の顔料を加えたものなので
ミルク分の多いカフェオレのような柔らかな風合いの色になる。
シナ材もオフホワイトであるから
双方はあるいは相殺するとかと思いきや、
マットなシナ材と小さく艶やかな漆の質感のコントラストが
引き算された美しさをほんのり香らせる。
これは漆芸というテクニカルな部分を、削いで削いでこそ現れた、
漆の波動を果敢に呼び起こした新しい存在。

余談ながら白子氏は、搬入1週間前に
母校芸大でのサッカー試合にOBとして出場。
思わぬアクシデントから半月板を損傷。
両手に松葉杖といういでたちで在廊。
近く手術されるという。
「よって搬入作業は指示のみでした」と明るく笑う作家。

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その日は漆とサッカーと松葉杖の3つのキーワードを
家に持ち帰った。

白子氏の一日も早い回復を祈る。

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