赤道直下に見た原初に導かれて…「Hayashi Toko, Textile Works - 緑の頁」

Category : 現代美術シッタカぶり
6月26日→7月10日【GALLERYGALLERY】

展示される織物作品は
回り込んで裏側を見られるという想定をはらみつつ、
一辺がやや短めの長方形という変則的な形で
天井から吊られている。
展示一つの仕方で作品の性格というものが
変わっていく面白い仕掛け。

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作家である林塔子さんは裂織という手法を駆使、
2004年全国裂織展で大賞、2008年準優勝という実績を持ち、
現在大学のテキスタイルアートクラスで教鞭をふるっている方である。
林さんは小学生、中学生とインドネシアで生活し、
いわば多感な時期の日常を異文化の中で過ごされた。
当然のことながらゲームやテレビに夢中になる年代に
たゆたうような時間の流れに身を置いたという事実は
その後の彼女の人生の転機へと導く磁石の針となる。
日本人学校で学んではいるものの、それ自体は特権的ではないようで、
当然インドネシアの人々のメンタリティや
あらゆる事象への反応、民族性というものをごく自然体で受けとめてきた。

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↑モケっとした手触りは生き物の背中のよう

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↑古代文字もいろいろ勉強されたと聞く      ↑落ちた文字のかけら…

インドネシアには「イカット」と呼ばれる
何百年も前から受け継がれてきた伝統的な染織文化がある。
約17,000の島々と400以上もの民族から成り立っている
インドネシアの織物は「島ごと」の特殊性が顕著に表れた
それぞれ独自の表情を持ったもの。
括る、縛るというインドネシア語を語源とするイカットは
また「絣」の世界共通語でもあるという。

林さんは“織物”に沿うように流れる“時間”そのものにも
大きな魅力を感じたようだ。
子供の頃から慣れ親しんできた土俗や風土性、
土地の人達が織り上げる美しい織物が
原風景として潜在的に刷り込まれていたのかも知れない。

ご本人は「織の技法的な制約と折り合いをつけながら…」と書かれている。
考えてみれば、そこに制約があるということで
伝統的な織技法というものが脈々と継がれ、守られてきたと言える。

続いて、
「織る」という原始的な行為を経て、
「物」をつくり生活する「人間」とそれを包む「自然」、
それらが共存している空気感や、
そこに淡々と流れる時間の静かな力強さを表現したいと思っている。
裂織の技法を用い、主に古い素材(着物・蚊帳・漁網)等で、
自然や時間の流れをテーマに織造形作品を制作している、とある。

林さんの作品がひと味違うのは最終的な形そのものはとても抽象的であるということ。
今回の作品もタペストリーと括ってしまうのには
そのとても複雑な“仕組み”と思い切りのよい大胆な構図、
発想のダイナミズムは、そんな器には収まり切らないであろう。
まるで緑の草いきれがしそうな、やや湿気を帯びた太い枠。
今回は古代文字を一つのテーマとし、その意味性をあえて確定することなく記号化、
文字を作り、伝え、そのことによって喜怒哀楽を表した“智恵”や
文字の形に込められた強いメッセージを
しっかりと静かに織り込んでいる。
床に今しがた落ちたような文字のかけら…
人の手と創意で植物に再び命を吹き込むオーガニックアート。
その芸術は誰にもおもねずに、
誇り高い“手仕事”として様々な風合いを
ところどころに散りばめて、林さんならではの「織物歓喜」を高らかに示している。

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↑惜しげもなく裏を見せる


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