細胞の吐息を映すダークファンタジー…「 科野 和子 -記憶のカタチ展- 」

Category : 現代美術シッタカぶり
9月14日→9月19日【立体ギャラリー射手座】

ちょうど1年前に「10の言葉と2の話」という二人展を見て、
その時のコメントに“言葉から抽出した作品”という言い回しを使っている。
二人の銅版画のテイストはそれぞれに反応し合い、
美しく詩的に相乗効果を醸し出していた。
昨年は日本版画協会版画展(東京クラブ)と
CWAJ現代版画展(東京アメリカン・クラブ)への入選を果たしている。

白いバックに優しくエッジの効いた“洒落た”線が印象的だった作家が
1年を経て見つけ出して、いや作り出した世界は
同じ作家の作品とは思えないほどに変容していた。

CIMG3185.jpg

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CIMG3189.jpg

一見すると内部を映し出せる特殊なカメラで生体をとらえたかのような
細胞などの組織を連想させる。
外側から見た生体を描くのではなく、
構成されている要素の集合体としての生体を描いている。
それは決して説明的にでも、かと言って抽象的でもなく
一種の“風景”として作家は自分の目の中に取り込んでいるようである。
観察することから知る多くの事実はまた
必然として生体の持つ独自性に強く繋がり、
作家のイメージはとめどなく広がる。

限りなく近視眼的でありながら、一つの宇宙の形成をそこに見るような
深遠で大きな世界がそこにある。
そして作家の特徴である「言葉の力」がここでも表されている。
見る者に物語るように線が動き、
何かが“棲んで”いるような息づかいが聞こえるのだ。

CIMG3203.jpg

森の中、池の淵、鬱蒼とした空気、蒸すような苔、何かに見える樹木…
そこに収縮しながら生きているモノたち…
一度迷い込んだら引きつけて離さない。
僕の目はどんどん奥へと入り込む。
近づいてみるとその線の細やかさに驚く。
と同時に相当スケッチをされているな、とわかる。
植物のカタチへの執着とでも言うのか…。

会場正面の横長の大作はひと際素晴らしい。
本当に“欲しくなる”作品である。
それは毎日見ても違う印象を与えてくれそうな気がするからである。

CIMG3200.jpg

作家の視点はこうしてミクロとマクロを
自由に往復することで見事に“立ち上がる”作品を作り上げた。
誤解を恐れずに言えば、ゴージャスになった。
そこに見えるのは自信と確信、
自分だけに表現できる手立てを得た歓喜である。

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