その強靭な後ろ足で跳ぶ9体のバッタたち…「 BATTA MON returns  岡本光博 展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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↑シャネルバットマン、じゃなくてバッタもん参上!

11月6日→11月27日【CAS】

今年4月15日から6月27日にかけて神戸ファッション美術館で開催された
「ファッション奇譚 - 服飾に属する危険な小選集」展。
そこに正にサブタイトルを象徴するような岡本さんの9体のバッタが展示されて“いた”。
もう済んだ展覧会だから“いた”と過去形で書いたのではなく、
会期を半分以上残した5月7日に撤去されたのである。
当時鎮座ましますバッタ君の勇姿は下の都筑響一氏のブログから見られます。

http://roadsidediaries.blogspot.com/2010/06/blog-post_1882.html

この話題はその後、新聞各紙にも取り上げられたし、
ご存知の方もいらっしゃることと思う。
今回は「バットマン リターンズ」にかけたタイトル。

9体のバッタはシャネル、フェンディ、グッチ、コーチが1体ずつ、
そして5体にのぼるルイ・ヴィトンの「偽商品」を解体して
作った40センチほどのバッタ君たちである。
つまり「バッタもん」。
僕は昨年10月にギャラリーで初めて作品を見て以来
すっかり「岡本流」にハマってしまった。

http://den393.blog81.fc2.com/blog-date-20091006.html

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5月6日、ルイ・ヴィトン社から抗議を受けるという事態が起こる。
その翌日の閉館後に即撤去という猶予なしのスピーディーな対応。
ヴィトン担当者からは「話し合う準備をしており、
あまりに対応が早く驚いた」(朝日新聞より)
ほどで、いかに展覧会を開催した神戸ファッション美術館、
その指定管理者の神戸市産業振興財団、運営者の神戸市が
この問題の火種が大きくならないうちに鎮火させようとしたかが見てとれる。
なぜネタに使われた他の4社に抗議なりの動きがないのかについても興味深い。
もしかしたらこれこそがヴィトンブランドの特性だとしたら
あの村上隆とコラボするヴィトン(その自由さが魅力でもある)の
肯定するアートと否定するアートの“区別”ははっきりするというスタンスの表れなのか。
しかしそもそもこれはヴィトンのニセモノであり、
ヴィトンを否定するものでも汚すものでもない。
素材に勝手にヴィトン“風”にモノグラムがプリントされたものに過ぎない。
先も言ったようにヴィトンの強力なブランド力は品質と
その先取性にあるといってもいい。

これは抗議されて撤去されるという素早い反応がなければ
「騒動」としての付加価値が弱くなるという側面も当然あるわけであり、
作家としての目論みの想定内だったことは充分に想像できる。
作品を通じて騒動は、パブリックな場で
しかも筋として作品の展示を当事者が“認めた”現場で起こったことだけに注目が集まる。

岡本さんは結構アブナい橋を嬉々として渡る人である。
塀の上をそろそろ歩きながらどちらに落ちてもタダでは転ばぬ人である。
落ちても手に握っているのは「提起」という岡本さんの印籠だ。
※岡本さん、ごめんなさい。
「寸止め」や「すれすれ」を良識や思い込みの中で
自由に形にして僕たちにスカッと示す。

この話題はサイトを検索すれば様々なコメントや記事を目にすることができるので
この騒動をめぐる意見は差し控える。
ただ現代美術という非常にわかりにくいと思われている節のある分野に
こうした武器の格納庫があるということはやはり素敵である。
岡本さんはいつも冷静に物事を見ている。
批評力も客観性も静かではあるが、事象を見据え、その向こうを見通す目を持っている。
そしてそれをいかにしてわかりやすく訴求するかというテクニカルな面にも
非常に長けていらっしゃる。

行政とアート、
ブランド(この語り尽くせないもの)信奉、
コピーとオリジナル、
アートとビジネスの関係性、
メディアの自浄作用…
そして総じてそれらを語る時のついてまわる或る居心地の悪さ。

当日は取材に来られた方の
「このバッタを売ってくれと言ったら」との問いに
作家は「国内だったら売りますが海外には持ち出せないでしょう」。
現在ヴィトン社との話し合いも予定されているという。
手にした人に迷惑がかかるような事態は避けたい、とも言われていた。
買う買わないは別として
バッタ君の跳躍力はかなり強くて重くて刺激的だ。
何はともあれ、バッタもんはこうして帰ってきた。

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↑これは番外編。ぶら下がっているのは100円均一で売られているパスケース。
 このモチーフを拡大し“再現”した。これは大いに笑える村上化(?)した珍品。言うまでもなく中国製。


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