いとおかしきオノマトペの住む部屋へ…「 紙 の 外   宮下 明日美 」

Category : 現代美術シッタカぶり
12月14日→12月19日【立体ギャラリー射手座】

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会場に灯るのはわずかなブラックライト。
置かれた丸椅子とハサミ、天井からの木の枝。
その3点がぼうっと浮かび上がっている。
そして周囲の壁には様々な擬音語たち…
わずかな生活音しか聞こえないこの場所で
躍動する“言葉”と言葉を導き出す最小の小道具たち。

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宮下さんは本が大好きである。
本好きが高じてご自身で本をつくられている。
タイポグラフィは勿論のこと、装丁も手掛けられている。
ゆくゆくは装丁家になりたいと仰っていた。
そんな作家は「赤ずきん」の話をモチーフに
指先でめくる本、それと1ページずつ読み進むという読書の原則、
右から左へ移動する目線、そこに記された活字情報を
空間表現として置換することを考える。
「紙の外」に飛び出す。

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ギャラリーの壁面、天井を飛び交うオノマトペは
ライトによってライトグリーンに浮かび、
観客の心に何度も復唱させる。
赤ずきんの話のうちの3つの章から
原作にはないオノマトペを抽出し、不思議な空間を演出した。

それはまるで今からパフォーマンスを演じるために用意され、
ボーダーレスになった客席と舞台のように美しく簡潔だ。
草書体から生まれた平仮名と
漢字のパーツから考えられたカタカナの発明は
日本語に独自の擬音語を作り出した。
豊かな表現力を手に入れたのである。
ちょっと前にオノマトペのみで自己紹介をするという
何ともおかしなワークショップを体験した時、
世界一英語の発音が苦手な日本人、という話を思い出した。
これだけ豊かな口語や表記法を持ちながら、
舌の使い方に歴然とした違いがあるということが不思議でならなかった。

実は「赤ずきん」には擬音語が登場しないと作家は言う。
僕たちはありもしない擬音語をつぶやきながら
そこに話を見て取る。

改めて平仮名とカタカナを見ていると
漢字という複雑な要素で構成されている記号は
読める、という前提のもとでしか観念として作用してこない。
それにひきかえ、それだけでは何の意味もなさない
平仮名やカタカナが、交互に繰り返されたり、
濁音になったり、小さい“つ”が挟み込まれたりするだけで
それぞれの人にとっての「ぼきぼき」や「ねちょねちょ」になる。

会場を出ると外界の喧噪や看板の文字が再認識され、
観客のメーターの針を揺らす。
本好きな作家が考えたインスタレーションという以上に
見る人の感覚を研ぐような面白い展示だった。


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