あらかじめ殺されたものたち。

Category : パフォーマンス見聞
京都放送劇団の朗読公演。
毎年「あの日を忘れない」と題して
戦争がもたらしたものを朗読を通じて再認識。
今回は井上こみち作「犬やねこが消えた―戦争で命をうばわれた動物たちの物語」

かつて犬猫がお国のためにと供出されていた事実。
いかなる理由があろうとも愛犬や愛猫を差し出さねば
非国民と名指しされる。
しかし犬や猫にはお国もへったくれもない。
軍用犬になるためのシェパードなど
そもそも日本犬ではないのだから、これこそ日本で飼われた不幸。
何のために?

1. 空襲などによってパニックにならないように
2. 狂犬病を無くするために
3. ただでさえ食料不足なのに犬猫に与えるエサなどもってのほか
4. 軍人のための防寒衣料の材料として

供出の主な目的は最後の4である
毛皮コートの材料のためだったようだ。
犬猫の毛皮を剥いでまで作る…
そのために強制的に連れてこられた犬猫に
剣道の達人である警察官がこん棒を一撃のもと撲殺!
我が飼い犬、飼い猫の最期の叫び声を聞いてしまった少女の
言葉にできない悲しみと慟哭。

この衝撃的事実は「人の死」という“戦争における圧倒的な量の消失”に
比べて語られることはほとんどない。
どの時代も人にかしずき、忠実な伴侶として
共に生きている彼らには
元より“選ぶ”だの“拒否”だのできる立場にはない。
人が彼らを守り、育ててきたのだから。

取材という形式をとりながら、長年にわたって
資料なども探したに違いないであろう。
事実毛皮の衣服を持っているという人からの話が舞い込み、
何の毛であるかを調べてもらう。
調べた検査官も一部に犬の毛が使われていることに愕然とする。
あらゆる毛がつぎはぎされた防寒着。
戦地に赴く兵隊を寒さから守る為に
“あらかじめ殺されたものたち”への鎮魂歌。
いらない命はどこにも無い。
戦争の狂気が犬猫に及ぶなどと誰が想像し得よう。

戦争の怖さは破壊やせん滅といった「結末」は勿論、
こうして人間の考えそのものを歪ませる「狂気の理念」が引き金になり、
やがて交互にスパイラルを描きながら上昇の限りを続け、
すべてを消し去ってしまうこと。
戦争が人を変える…戦地に行った人間はもしかしたら
毎年夏にこのことを心密かに自ら検証しているのかも知れない。





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Comment

No title

こんにちわ。
難しいことは書けませんけれど、この間、
いろいろ混血したりしていると思いますがフランス人の子供たちとつたないお芝居をしました。
大きくても中学2年ぐらいでアメリカについて自分たちなりのしっかりした考えを持っていて
アメリカでしていけなかったこと、アメリカがしてよかったことを
はっきり認識しているのには驚かせられました。
日本のこの年齢の子供たちが他国に対してどのような思いがあるのかとても知りたいと思います。
お書きになる戦争にまつわる悲しみ、苦しみをしっかりと知ってほしいとつくづく思いました。
いろいろなところに分かりやすく子供たちに向かって書いて頂けるといいなと思います。
私も知らない事が多かったもので、ありがたかったです。
お暑いのでお気をつけて。
いつもありがとうございます。
ではまた。
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