艶やかな陶器のような光景と言葉たち…「 金 サジ 個展  瑠璃も玻璃も照らされている 」

Category : 現代美術シッタカぶり
1月18日→1月23日【立体ギャラリー射手座】

個人的に成安造形大学 デザイン学科 写真クラスの個展は
なるべく観るようにしている。
と、言うのも立て続けに、いいなぁと思える
在校生、卒業生の個展に過去に恵まれたからである。
とは言ってもテーマも写真としての体裁も大いに反映される
写真の個展は、言葉にすることも、こうしてブログにアップすることも、
いつもながら難しい。

例えば銀塩であること、例えば個人的なテーマで撮られていること、
例えば社会の事象を映し出そうと試みているもの、
例えば、テーマがぼんやりしているもの…
写真という肉眼で“視て”いるものに、付箋をつけるように記録し、
印画紙に記憶させていく作業は
やはり芸術的発端から完成に至るまでには
絵ほどではないにせよ、タイムラグが生じる。
その伝えたいモチベーションをどうやって維持していけるのか
いつも不思議に眺めている自分が居る。
被写体に対して果たして、挑むのか、愛でるのか、鷹揚とした気持ちで
接するのか、畏敬の念で満たされるのか、わからないが
条件の中で極めて重要なのは“気”ではないか。
ここでいう気とは大気のこと。
大気に伴う光、匂い、湿り気、風向き、時間…
それを引き寄せるタイミング。

金さんは3世の京都生まれ。
作家活動のかたわら、金一志(イルチ)韓国伝統芸術学院のメンバーとして
民族舞踊などもされている。
しかも“同業”相哀れむではないが、グラフィックデザイナー。
なんだかダンスとデザインの話ばかりしていたような気がする。

白い箱に楚々と納められた写真は正方形。
ギャラリーの“景色”を構成している要素が全て正方形であることで
無言の秩序が作品の間に漂い、空気を凛としたものにさせていた。
絵が本来、支持体に画材を重ね、削ぎ、足す行為の果てに成立すると解釈すれば、
シャッターという“決断”によって光景を引きはがすものが写真だと思う。
その引きはがされた光景は額の中で作家の愛おしさに身をゆだねるように
大切にしまわれていた。

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CIMG4631.jpg CIMG4632.jpg
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テーマは「変わらない存在」。
霧のなびく山並み、風を受ける水面、深閑とした森、もののけを思わす木々、
復元させる頭蓋骨、交尾している蛇の標本、後ろ姿の孔雀、朽ちた土壁、
どろりとした池、実家で飼っているというバセットハウンドなど、
生きとし生けるものと、先に言った大気とが相反しながら、
スパイラルのように昇華していくイメージだ。
一枚一枚のサイズは小さいのだが、思わず長けた作家の手練というものを
感じざる得なかった。
上手いなぁ…なんと陳腐な言い回しで申し訳ないが実感である。

順番に見てまわるうちになんとも不思議な作品に足がしばらく止まる。
この被写体に遭遇できるのもまた写真作家冥利に尽きるのではないか。
必死になってエサを食らう錦鯉の中に
粛然と浮く一羽の鴨。

CIMG4637.jpg

鯉たちのなりふり構わぬ形相とは対象的な、
まるで意に介さぬ、むしろ悟りの境地にまで達っしているかのような鴨。
僕の中の煩悩はこの一葉の写真に様々に去来していく。
合成ですか、と問われるほどにリアリティが無い。
それがリアルな光景であればあるほど、リアルさが剥きとられる。
鴨に訊いてみたい…あなたは一体何の化身なのだ…

目を奪われる、とはこのこと。

片隅にあった過去のファイルを見ていると
作家、金さんの「言葉」への真摯な向き合い方と使い方、
イマジネーションの妙なる増幅力に舌を巻く。
写真と同じまろやかなテイストを感じる。
是非見開きに文章と写真を載せた体裁の本をお出しになったらいい。
僕は真っ先に買いに走る。

CIMG4643.jpg

※写真展を写真に撮るなどという愚行を承知の上で載せていただいた金さん、ありがとうございます。
 写り込みの関係上、斜め撮りばかりですが(しかも全くイメージが伝わっていない)ご了承願いたい。


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