神々しく粛然と鎮座する…「 吉川 充 陶展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
3月1日→3月13日【 GALLERY MARONIE space5 】

このところ陶芸の個展や卒展の陶芸作品を見ながら、
いろいろと考える。
どう考えたのかを言葉にすることの難しさもまた…。
改めて言うまでもないのだが、
出自となる土が人の手にかかると、
事ほど左様に変容するものかと驚くのだ。
自由さや闊達な気風の反対側には、
神経質なあまりに人を寄せ付けない部分もあったりして、
そう、人見知りな陶芸というものもあるだろう。

昨日アップした斎藤啓司さんの個展は、
実は吉川さんの後に見たもの。
順番は逆。
その、同じ陶芸という“括り”に入るお二人の作品を見て、
何の根拠もないのだが、なるほど…と腕組みしてしまうのだ。
それぞれの作家の創作史の中での作風の変遷もさることながら
やはり“今”を信じて作ってらっしゃるんだなと実感する。
土の捉え方、カタチが表すもの、そこに込めた深い想い。
誠にもって百人百様である。

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会場全体が、正面の窓から射す冬の西日に
静謐な佇まいを見せるなか、
8体のオブジェが整然と鎮座する光景は中々に荘厳。
台座に刻まれた文様が光を受けて、
その特有なディテールを際立たせている。
まぎれもない縄文文様。
「縄文心象」というサイトにはこう書かれている。
「文様は装飾のために機能し、同時に集団としての共通理念や価値基準を
表現し、確認する機能を本来持っている」
その共通理念とは何あろう、アニミズム(原始宗教)である。
守護神によって文様は様々なモチーフを指し示し、
またその組み合わせによって複数の意味を持つという。
縄文時代というのは約1万3500年間を指す。
これほど長い年月を「○○時代」という名前で呼び習わすのは他にはない。
おっと、縄文マニアからツッコミが来る前に…

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屹立する8体は台座と上に乗る壺や舟形のオブジェとで構成されている。
吉川さんが興味惹かれるのは日本人が当たり前に見ている日々の所作やしつらえ。
団子はさんぽう(三宝・三方)に乗せることで
その意味するところに「神殿」や「月」という語彙が現れる。
菓子+盆、と菓子 on 盆では全く違う。
結納やお祓い、儀式料理など古来より、
奉る(たてまつる)
具体的には供える、奉納する、献上する、差し上げる、捧げる、
あがめる、崇拝するなどの神仏・天皇へのスタンスと
君主などへの戴く、奉じる、敬う、重んじる、信奉する、神格化、見上げるなどが
あるが、いずれも何らかの“台座”に乗せられて事は粛々と運ぶ。

どの作品にも台座には三宝に見られる刳(く)り穴に相当するものが開いている。
渦巻き模様はケルトやインド、中国、東南アジア、中南米などの古代遺跡にみられ、
いわば世界共通の蛇神信仰と深い関係を示唆するアイコンであったということだ。

吉川さんは現在、美術大学の講師をなさっているが、
齢を重ね、陶芸一筋に邁進してこられた方ならではの話をされた。
「若い時は前がいくらでもあった。そのかわり後ろには何もない。
今は前がどんどん無くなってくる、後ろはその分たっぷりある。
この辺で昔のおさらいをしてみようかという気になっている」と。
それは若い時に読んだ本を何十年も経て再び手にすることとよく似ていると思う。
一本気に土をこねながら一心不乱にカタチを作ることは
縄文人からのDNAを脈々と継いでいることに他ならない。

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▲こうしてセパレートされると、その創意と所以が一目でストンと落ちる


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Comment

圧巻

すごいですね~
台座に乗せる時手が震えそう
割ってしまったりしたことはないんだろうか
よからぬことを考えてしまいました

後ろがなくなる・・・頂点に近くなるとそうなるんでしょうね
私には無縁ですが・・・
旦那もこの年になると 会社でも上になれば人から教わることが少なくなるし本から学ぶこと多いと本に囲まれた生活を子供たちに見せたいと話してます

No title

セパレートにしている壺を実際に乗せていただきました。
その瞬間、ぞれぞれが全く違う表情になったのには驚きました。
お歳は62だとかでしたが、とてもアグレッシブな方でした。

人から教わることはとても大切ですね。
今、つくづく思います。
それと自分が思っているほど大した人間ではないことに
また気付かされるんですね。
まだまだ若造ですわ…タハっ!

そうそう

denさんもアグレッシブですし心が柔軟
若い証拠です ・・・ガハッ

地震怖いですね
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