ラボ31日目。つながること。

Category : 演劇ラボ 2011年夏の公演への道のり
ラボが始まる前にそれぞれがこの一週間に感じたことを
自然と語る時間ができる。
こちらとあちら…
正常と異常…
潤沢と不足…
そして届かぬ無念…無力な自身…

今回の舞台もあるカタストロフィからの
日本人の姿が立ち現れるというもので
動機や原因こそ違えど人々に必要な「つながり」を改めて
思い起された。
座卓を囲んでメンバーがそれぞれの過去の体験を語り合う。
この体験とは、それぞれが資料に基づいて予め設定されたもの。
だから台詞ではない。
何と言うか…自分が他者になって、もう一度自分にフィードバックすると言うか…
当然誰も“それ”を経験していない。
どうやったら聞いている人に“それ”が、
つまりその出来事が伝わるかということ。
今日で2回目だが、演出家である柳沼さんのダメ出しが入る。
これは原稿を書いたり、覚えたりする作業とは全く違うもの。
だから僕も行き当たりばったり。
語る相手の目を見て、聞く時も相手をしっかり見る。
話の最中に下や上を見ない。
斜め右(か左)を見ながら話すときは嘘をついている時という
以前の柳沼さんの言葉を思い出す。

タイムリーというか、今日は京都から満州に渡った開拓団の生存者が
戦後66年目にして、初会合を開くという機会に同席することにした。
13人の生存者はいずれも70代の後半か80代。
渡満の際にはまだ子供だった人達。
今回の舞台に大きく関わることだったので
生の声を目の前で聞きたいと思ったのがきっかけだ。

母のことを語る時に思わず嗚咽してしまった人、
スケートをして氷にはまった話を楽しそうに語る人、
おんぶされている子供が
背中から槍で突かれて血だらけになっている惨状を語る人、
声で聞くのはもしかしら初めてかもしれない「野蛮人」という言葉、
京都の都市住民は比較的豊かであったため、
国から押される形でやむなく満州に渡ったが結果的には騙されたと言う人、
真冬の満州で殺された日本人の遺体を道ばたに積んで逃げたことを悔やむ人、
バスも電車も日本人が優先して座り、現地の人は後回しだったこと…

やはり生の声は強烈だ。
嗚咽した人を覗けば、その語り口は至っておだやかだ。
3日前のことは忘れても、あの時のことは鮮明に甦る。
ややこしい中国の地名もスラスラと口から出てくる。
それにしてもみなさん、お元気だ。
みなさんの父母が満州でどんな体験をしてきたかは
体験者が亡くなり、またその資料も戦犯にされるリスクもあるために
消却廃棄されたという。

小さな会議室で行われた会合には記事を書いたと思われる記者も居て
僕がドアをノックして話が聞きたいと言うと
迷惑そうな顔をされた。
一体どこの誰か、という反応だ。
帰りに「突然申し訳ありませんでした」というと
鼻であしらわれた。
隣に居た事務局の年配の方に「どちら様でしょうか」と尋ねられ、
演劇のために実際に声を聞いてみたかった、と応えると
喜んでおられた。
あの尊大な態度の記者とのなんという差。

僕は尊大な態度をとる人間はどんな学歴があろうが財産家であろうが
政治家であろうが、先生であろうが
そしてどんなに先輩でも「未熟者」と断定する。
記者である彼もは想像力が欠落しているだ。
このような関わりを持たない一般人が聞く事によって
ささやかだが伝播し、波及し、反映されるということに
思いが至ってない。
記者であることに“うぬぼれて”いるのだ。

例によって二転三転話で申し訳ない。

今日のラボでまたみんなと一つ近づいた感じがした。
確かに父親か、あるいはそれ以上の男が
こうして今年高校生になる女の子や大学生、
20代、30代の人達の中に居ることは、
不思議で落ち着かないかも知れない。
僕が逆の立場だったらそうだろう。
しかし目標に向かって熱意を重ね合うことで
生まれてくる世代を越えた関係性も見えてくるはずだ。
僕にとってみんなは誇りであり、仲間である。

さて次からいよいよ台本が渡される。
そしてスタッフ会議。
俄然忙しくなる春である。


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