母。

Category : 追悼…
「会わせてあげたい人があったら呼んでください」と
主治医に言われてから5、6日は経過しただろうか。
呼吸のテンポは不規則で、時折けいれんも見られる。
肥大化した心臓がなんとか動いている。
まるでゼンマイ仕掛けで息をしているような動き。
午後9時48分に逝った。
会話らしい会話ができなくなってから
それほど経過したわけでもないが
結果的にアルツハイマーが影響した。

僕は今回を含めて過去に三回喪主をしている。
育ての母、育ての父、そして明日の告別式の生みの母。
結局三人ともに、愛情を分けてはくれなかった。
預かった愛情は加齢と共に金利が付いて
それが人を、また他人との関係を豊かにするものだ、と
勝手に思っているが、
僕のようにさっぱり母性も父性のかけらも手にしていないと
両替して人に還元する手立ても持ち合わせていないから
薄情などと言われることもある。

90歳の彼女の人生は豊かだったのだろうか。
僕を産んだことが彼女のデメリットだったことは
過去何度あったのだろう。
なぜ再婚せずに“済んだ”のだろう。
若い頃の僕は正直誰が母親でも良かった気がする。
もちろん父親も。
少ない愛情というものに免疫性を持つと
その辺のところはさっぱりと割り切れるものだ。

ベッドの脇で、あの機械仕掛けのような連続した短い息継ぎ。
まるで「まだ死なせてくれないのよ」と言ってるような…。
僕はかたわらでじっと見ている。
もうすぐ終る。
僕の中でももうすぐ何かが終るのだ。
思い出の希薄な母との関係はこうして終るのだ。

女学生の母

▲女学生だった頃の母

スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

58カ国語に翻訳
English
お越しいただきありがとうございます

den

………………………………………
アート・ドキュメント・ブック・
ミュージック・演劇・ダンス・
朗読・時事・ひがみ・そねみ・
やっかみ・おせっかい…
などなどシッタカぶって書きちらかしては
自己嫌悪な日々をゆらゆらと
過ごしております。
「シッタカブリアンの午睡」
「デラシネ光合成」をこのたび一本化。
言いたがり、やりたがり、ノリたがりな
のんのんとしたブログにお越しいただき
ありがとうございます。
………………………………………

ここから、また…
最近の書き散らかし…
こんなこと書いてます
こちらへもどうぞ!