老いてなお艶やか。円熟の二人芝居…「ドライヴィング・ミス・デイジー」

Category : パフォーマンス見聞
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3月4日→3月8日【大阪梅田 サンケイホール ブリーゼ】

映り込みのない漆黒のブラックボックスというコンセプトのホール
「サンケイホール ブリーゼ」。全て徹底した黒ずくめ。
何階分かどをぶち抜いているのでやたら天井は高く、奥行き不足が
かなりの傾斜角をもつ座席レイアウトになっている。912席。
舞台自体はそう広くない。

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延べ300回を数えたという「ドライヴィング・ミス・デイジー」も
今回の公演がラストであるということ。
とにかく年配のご婦人方の貸切状態。
開演のブザーが鳴ってもまだしゃべっている、お菓子の袋はかさこそ…
どうしてこうマナーがなってないのだろう。
今やこの辺の特定の「ダメ老人」自身が
もてあましている時間をどう使おうが指図するつもりは無いが
決して一緒には観たくない。

全体的には「何が始まるのか」という期待感・緊張感ではなく
「温かい気持ちで見させていただく」という反応。
その通りの舞台。
民芸の奈良岡氏と無名塾の仲代氏の定番の演し物。
だから安定と熟成と安心の生命保険のウリのような舞台上で
こなれた役者がいつも通りに演じていて、ややもすると眠気も誘う。
黒人嫌いの婆さんと雇われた黒人ドライバーとの
時代を経るにつれて変化する関係と同時に老人問題も含めてコミカルに描く。

さすがに、ベテランの二人のからみは絶妙である。
長ゼリフもなんのその、仲代氏の素晴らしい身のこなし。
奈良岡氏の歯切れの良い声の張り。
鍛錬された役者とはこういう人のことを言う。
どれをとっても完璧なのに…
が、正直期待したほどではなかった。

あまりに暗転が多く、落ち着かない。(のに眠たいのは果たしてビールのせいか)
それがせっかくのストーリーの味わいをせかせかしたものにしてしまっている。
デイジーとホークとの変化する関係を描ききれていない。
展開にばかり目がいって「機微」まで達しきっていない。
奈良岡氏は終止「いい婆さん」役であって、辛辣さに足らない。
ある「ウケ」を狙った仲代氏が言う
「セブンイレブン」などというフレーズも要らなかった気がする。
また、ユダヤ人であるデイジーの心境の変化を表現するには
尺が短すぎるような気もする。
もっとも、奈良岡氏は二人舞台(厳密には三人)に必然の
「セリフでの苦労」もあったようだ。
1時間45分はそれでも長いのかも知れない。

ともあれ2005年の初演以来、
今回で最後の公演になる「ドライヴィング・ミス・デイジー」。
映画が極めて好評だっただけに、お二人とも大変なご苦労があったろう。
最後に「お疲れさま」と一言…。

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Comment

ふわぁ~~ (;゜〇゜)
ちょっと、全然関係ないことで済みませんが、ここ自動的に名前が入るんですねぇ~~!
ビックリσ(^◇^;)

お芝居などあまり観たことがないのですが、どうなんでしょ・・・。
人種間、主従関係などを表現する言葉、日本では差別用語に厳しすぎるからねぇ・・
「辛辣」さが足りないってあったので・・。
外国映画を観ると時々ドキッとさせられます。
そう、日常で言われるであろう言葉の羅列とかに。
悲しみの表現、死に様など、醜さも人間らしさだものねぇ。

勝手なことをウダウダと<(_ _)>

またお邪魔しま~~~すぅ。

→葉菜子さん

コメントありがとうございます!
意外な人からのコメントはうれしいものです。
そうですね。「辛辣」と書いたのは
この話の根幹がそこにあるということなんです。
だから最初の彼女の辛辣さが足りない、と。
芝居にピーは入らないんで「黒んぼ」って
はっきり言います。英語だったら、さらにもっと
きついんでしょうけど…
妙になれ合い的になってしまった感もあります。
映画の方はかなり、いいですよ。
DVDでも借りられます。
運転手はモーガン・フリーマンです。

denさん、「映り込み」「尺が短い」って、どーゆーことですか?

私も これからしばらく‘朗読’だけじゃなく、‘舞台’も観にいってみよう。v-220

→風さん

風さん、コメありがとう!
この劇場は椅子、手すり、階段、壁など全て真っ黒。不必要な光の反射や照明が映るのを避け、観客が舞台に集中できるように考えられたそうです。
尺は元々映像業界などで使われる用語でテープやフィルムの長さを指したものです。
時間的な事柄を表現するために使われます。
M先生もよく言ってましたよ。

J・タンディーとM・フリーマンの配役がビンゴだったから あの映画が物指になると チョイト辛いかもだす。
人間は比べたがりですからね。

関係ないネタで申し訳ありませんがdenさま「少年は虹を渡る」っていう映画観ませんでした?多分私達が高校の頃の映画だと思うのですが。私はこれ小説で読んで 昔はまったの。映画は 随分後で観て・・・でした。それが芝居になっているそうなのですが ご存知ですか?

→伊万里さま

あれだけ評価された映画の舞台化は
結構しんどかったと思います。
でもあの役者根性は見上げたもんです。
ハル・アシュビーは好きな監督の一人ですが、
見たようなそうでないような…もう海馬が…
バット・コートはここにも紹介している
「ライフ・アクアティック」で久方ぶりに
見てうれしかった思いがあります。
多分見てると思います。
青年と老婆の恋でしたね。
チェックして今度改めて見ます。
ありがとうございました。
そう言えば若かりし頃「去年の夏」読んで
映画にもハマったこと思い出しました。
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