愚者の実験の所産を緻密に切り抜く…「 早崎 真奈美 展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
10月18日→10月29日【 galerie 16 】



動植物を博物的に捉え、眺め回すという行為。
それは、おそらく人間の業。
しかし、この広い宇宙のどこかでは
人間が標本にされていないとも限らない、なんて考えること、しばしば。

壁に掛かっている、
「私はいつも愚者の実験を行っている」というダーウィンの言葉。
そのまま“私たち”と差し替えてもいい。
個展のテーマは、生命の神秘を博物(誌・的・学・館)という
アカデミックなふるいに掛けた早崎さんのとても素敵な切り絵から始まる。
人はあらゆるものに“名前”をつけることで
カタチや成り立ちをそれぞれに落とし込んでいった。
今あるものは人以前にすでにあったと考えると
この人間の壮大な作業そのものが博物誌であると思える。
また、人智を尽くし、この地球のという惑星の実体を
どこまで知ることができるのかに永遠に挑戦しているようにも…。
それを「愚か者の実験」と言えるのはダーウィンだけかも知れない。
博物館そのものが実験の所産なのだ。
博物とは巨大かつ緻密なファイルの集積。
いつか早崎さんの言う、ロンドン自然史博物館の迷宮に一度は足を踏み入れて
のたうち回りたいものだ。
しかもこの膨大なコレクションはタダで見ることができるというから
なんとも太っ腹。
建築学的にも素晴らしいネタに満ちているこの博物館は、
同時にコレクションそのものがあまりに古過ぎて本当に汚いとも仰っていた。
自然史博物館への好奇心や、なぜ多くの人々が並んでまで
見に来るのかという微妙な違和感を表現するために
早崎さんは「種の起原」を読まれたということだが、僕などには
まるで法律書のようにも見え到底読み切る自信はない。

ダーウィンは「種の起源」をまとめるためにさまざまな実験を行っている。
進化論が生まれるきっかけとなったのは
当時イギリスでブームになっていた鳩の品種改良からだった。
いろいろな観賞用の鳩が作られている中で
“とどのつまり”カワラバトという野生の鳩がその根源にあることを
ダーウィンなりに突き止め、検証したもののパラグラフを
刺繍に見立てた作品などは簡潔にこのテーマを表したもの。
恐竜の骨格の切り絵、と思いきや
ヒトやその他のものも混じっていて
これは一見するとそう思い込んでしまう不可思議さと検証の危うさを
表している。
事実、発掘された骨で骨格を組むなどという行為は
勝手な想定内のものでしかないと言えば、そうである。
だから間違いも同じ数だけある。
過去を掘り起こし、ああでもない、こうでもないという過程そのものが
「愚者の実験」と考えてみれば、
未来への架け橋?と考えられてきた宇宙開発もまた
同様に愚か者の実験結果なのかも知れない。
突き進むと思われていた開発も、あれほどの勢いもなく
音もなく終息していく感じだ。
おっと、中国はこれからか…。

早崎さんはロンドンを中心に活動されている切り絵作家。
今回は第2回グラフィック「1_WALL」展で
グランプリを受賞された作品を中心に展示されている。

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