かつて、もっと濃密に家族の一員だった人。

Category : ロートル介護職員誕生
デイ利用に盆正月は関係ない。
よくよく考えてみれば当然のこと。
そして介護度が上がれば上がるほど利用度もアップする。
暮れから新年にかけて親類縁者が出入りし、
その家の主婦にとってはゆっくり休む間もないこの頃、
認知も進み、また体力的にも弱っている高齢者は
否が応でも“手の掛かる家族”としての立場に立たされる。
中には大晦日からデイにお泊りでここで元日の昼食を済ませてから
家族が迎えに来る?という珍妙に思えるケースもある。
確かにこの利用者さんは送迎からして大変。
やっと説得して車に乗り込んでもらう。
さて次の利用者さん宅へ向かうべく走らせていると
段々とテンションが上がったご本人、
大声で罵倒する、シートベルトを外して
立ち上がり後ろから首をつかむ、
バンバン窓を叩いて
「どこへ連れていくんや !ここで降ろせ! 降ろさんかい!」と叫ぶ。
最初に経験した時はどうなることかと思ったものだ。
さて、クスリが効いてきたのか30分後のデイのソファの上では
こちらが気抜けするほどの別人になる。
恐るべし薬効…
ちなみにこの方、85歳の女性。
その不穏さは到底家族の手に負える類いのものではないことは確かだ。
また、ご本人が2泊3日の利用の間に
旅行へ出向くといった家族も居る。
ポストのカギで玄関を閉めてまた戻して欲しいとのこと。
彼女は一人でデイの迎えを待っている。
実際には玄関でこれから出て行くところの家族と会ったということだが
当然ご本人は息子夫婦から何も聞かされていない。
また利用している他のデイが年末年始(世間並みに)連休をとるために
ここを利用するという人も居る。

利用者さんの9割は認知症。
ここに到着するまでの利用者さんの心象は僕にも定かではない。
リピートされる「戸惑いと不安」。
自分自身の“良くない変化”に明らかに動揺し、
そんな自分を情けないと責め、心の中で音のない嘆息をもらす。
この4ヶ月で明らかに進行しているとわかる人のなんと多いことよ。
僕の母もそうだったが階段からエスカレーターになって
やがてエレベーターの様相を呈する。
楽天的な人も居るが、押し並べて恒常的に曇天模様な感覚の中で
生活しているというのが現実だろう。
耳が遠くなり、腰が曲がり、言葉が聞き取りにくくなり、
反応速度が低下する自分自身をしっかり受けとめ、認めることは
想像通り「哀しみ」や「切なさ」と自身の中で
共存していかなければならないということ。
僕などは、そう遠くない将来にそんな無念な折り合いの付け方を
していけるだろうか、などと思う。
うちの場合、1年ほどで利用者さんは順次入れ替わるという。
その行き先は施設や病院。
極端な言い方を許していただけるのなら、
この事実は「畳の上で最期を迎えられること」がいかに稀なことであるかという現実を
改めて私達に突きつける。

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Comment

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おひさしぶりです。
今年は生活環境の変化もあった上で、美術の記事も引き続き載せてくださって、
感謝感激雨あられでございました。
時間の工面も大変であることも考えずリクエストしてしまったこと反省しつつ、
めちゃくちゃ楽しみに読ませて頂きました。
ありがとうございました。

お身体などご無理のないよう、良い年末年始お過ごしくださいね。
来年もやんわりと、よろしくお願いいたします。
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