ところで今夜のごちそうは?

Category : ドキュメントDVD
ごちそう

フード・ドキュメントを見る度に思い出すこと。

糊口を凌ぐべく、
昨年の夏の盛りに調理器具洗浄のアルバイトをした。
本業と掛け持ち。
ところはK大病院。
関係者以外立ち入り禁止の自動ドアがある地下1階。
ここで入院患者の調理、盛付け、運搬、洗浄が行われる。
年間ののべ外来患者約60万人、入院患者約37万人にも及ぶ巨大病院。
病院食は毎日1000食以上。
盛付室と調理室の間にある洗浄室に双方から汚れた調理器具、
食材が並んだホテルパン(ステンレスのバット)を積んだ
トロリーと呼ばれる台車が次々と送られてくる。
その量の凄まじさは笑えるほど。
処理に手間取るとすぐに溜まり、
献立に使う巨大な寸胴やフライパン、ボールが足らなくなる。
午前9時から午後3時まで全くの休憩なし。
一人で何百というホテルパンと
台車に山ほど乗ってくる脂まみれの調理器具と格闘しながら、
わけもわからないうちに交代時間が来るといった日々だった。
サラダ、揚げ物、煮物、蒸物などの単品メニューが深いホテルパンに
そのまま手つかずで送られてくる。
これは残飯ではなく、献立そのもの。
これまた大きな業務用の白いゴミ袋がまたたく間にいっぱいになる。
多い時で次の交代までに6杯ほどになる。
ゴミ集積場へ行き、3帖ほどの冷蔵庫のような部屋へ放り込む。
ある時、シフトのミスでトルコ人の建築関係の留学生と一緒になる時があった。
彼にとって初日のその日、まず驚いたのがこの生ゴミの量だった。
洗う手が止まるほどに落胆する彼にため息をついて見せると
大げさに肩を落としてたどたどしく「…ヒドイネ…」と一言。
続いて「コレ、ミス、ネ」。
いやミスではありません。
来る日も来る日も捨てる量は大して変わらず。
この実体を、委託する病院側、された業者側はどう捉えているんだろうか。
足らないよりは余っている方がまだマシ。
だがこと食材や調理品に関して言えばかかるコストは半端ではないはず。
というよりも提供する側の食のモラルとは…そんなものは最初から存在しないのだ。

食の供給の絶望的な歪さ。
供給される側の「いつでも安く旨いものを」との要求に
応えていけば結果は推して知るべし。
今更の話ではあるが、
物流がこれだけ発達すれば生産コストよりも運送コストの方が低いという
ギャグにも似た結果を招く。
家畜のエサのための広大な農地は限られた面積から森を奪う。
(この“森が奪われる”というフレーズを実感している人なんてどれほど居るんだろう)
促成栽培はわかっているけど、
促成鶏を知った後はさて、どうする。
それでも食べますよ、若鶏の唐揚げ。
食べ物の向こうに飢餓に苦しむ人々がいるなどとは露ほども知らず。
物流が発達し、保存が効く食品が普及し、
農業や畜産が工業化していく。

飽食 ≒ 飢餓。
人間様の業の深さ。

現実はこのビデオを見ながらフライドチキンを食べているようなもの。
情報の一端としてしか認識されないし、
フェアトレード食品で我が家の食卓を満たすほどのコストはかけられない。
さて、さて…。

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