定点から視るnippon、そして放っておけない代物たち…「 KAAI OGAYA Solo Exhibition 祖国 My Somewhat Strange Patriotism 」

Category : 現代美術シッタカぶり
3月13日→3月18日【 同時代ギャラリー 】

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果たして自分にとって祖国とは何なのだろう、という疑問。
「彼の国」では問題に取り上げること自体がナンセンスであるのかもしれない。
例えば多民族国家では、それぞれの出自たる国(ルーツ)はあっても
今 “属している” 国こそが最も現実味を帯びた居場所なのであって
そのこと自体に無関心な態を装うなどというのは
それ相当の理由をきっちりと議論できるだけの覚悟を持てということなのだろう。
簡単に言えば、祖国はそれ以上でも以下でもなく、
理由の如何を問わず、国民であるという大前提のもとで
何を議論する余地があるのか、という話しなのだ。
しかし正直どうだろう。
実感はあるのだろうか。
日本国をどう意識し、どう伝え、どう捉えているのだろう。
堅くて重い話から始まってしまったが、
国旗や国歌を“誇れる”シンボルとして、当然のように自身で受けとめているかというと
先の橋下市長の大阪での教職員への一つの判断のように
“他所の国では当たり前”のこと(あくまで僕の想像上)が
法令化やその遵守について、守らざる者は罰すというようなケースになると
この件について断定しかねる気配が漂ってくる。
今回の作家である小栢(おがや)さんは
1年間のイギリス留学で、日本を視る他国、他国に居ながら視る日本、という
宿命的なテーマにやはり出会ってしまう。
留学の最中に起きた大震災によってメディアというものの、
これまた宿命とも致命的とも言える普遍に驚き、戸惑う。
何が本当の姿を伝えているのか、何を信用したらよいのか、と…。
会場にある国旗をモチーフとした作品などは通常ならば
そこに強烈な暗喩やアイデンティティ不在のメッセージが込められるものだが
ここには、よくある沈痛な面持ちは見られない。
それは小栢さんの年代そのもののクールな視点なのかも知れない。
国旗の後ろにある歴史をことさらに引っ張り出して口角泡を飛ばして議論するなどというのは
空しい作業に見えるかも知れない。
この作品はそのことと、つまり国旗はそれほどにデリケートな素材で
取り扱いがとても難しいということを簡単に飛び越えている。
そのことをここであげつらうほど、僕自身も、
「では愛国心とは何ぞや」と問われて歯切れよく明瞭な答えを出す事はできない。



ボタンの掛け違えはどこにでも、そう、誰にでもある些細な出来事のひとつ。
しかし、ボタンにはそのサイズに合ったボタンホールがきちんと用意されているはずで、
これは予定調和であり、合って当たり前という“整合”を暗に求めているはずだ。
しかし人の世はままならず。
男女関係から政治に至る浮世の戯れ事には、このボタンに象徴される如く、である。
掛け違った国旗の赤は、そのまま解釈の仕方や個々の思いを表しているようで
これほどの稀なるシンプルさを以てするデザインを
より引き立たせてくれる皮肉さも感じられて面白い。
勇気あるモチーフの選択、と言えなくもない。
常に勝手なイデオロギーをそこに見てとってしまう危険性もあるから。
円形にシャツが互いのボタンによって連携されているが、
それらは危うさを孕んでいて、なんだか裏があるような邪推を伴う。
違うシャツに合うはずもないボタンを無理矢理はめて
一見繋がっているように見える。
現代美術はこうしてみると、強力な言葉を道連れに再提示する装置に思えてくる。

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原爆投下の往事の新聞と戦意をあおるプロパガンダ、
そこに非核三原則が見える。
上の画像はイギリス留学時の作品だが、これは海外での非核三原則そのものの
認識のあまりの薄さに作家自身が驚いたという。
僕には中央の少女がまるでレ・ミゼラブルのポスターのそれのように見える。
宗教画の持つストイックさと狂信的な部分、
遠い世界を見るような静かな不気味さ。
日本という国がどれほど特殊か、平凡か、幸福か、ノンキか…
小栢さんのような立場に居ないと見えないものが
まだまだ沢山ありそうだ。

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↑或るピースを友達に送り、その友達からさらなる人を経て小栢さんの元に届くという作品。
現在も進行中。壁の地図はその経路。
つまり小栢さんの手前の人は一面識もない人ということになる。
この小さきピースに込められたものは意外に大きい。

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↑実際の郵便物。

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まとめteみた【シッタカブリアンの午睡】

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