系図の現場、繁栄の舞台…「 太田 三郎 2012年 春 特別展示(瑞雲庵) 」

Category : 現代美術シッタカぶり
4月30日→5月5日【 瑞雲庵 】

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上賀茂神社からほど近くの日本家屋「瑞雲庵」での展示は
テーマが「家」。
家では何が行われるか。
繁栄 ←→ 繁殖
横長に、縦長に系図をつくる“現場”はまさに「家」である。
子孫の繁栄、家内の安全、未来永劫、家系を絶やさず、
代々継承すべく、家は繁殖の場であった、そんな視点からのインスタレーション。
それは太田さんならではの「記憶の渕にかかるもの」としての
人生の一コマを彩る風物詩なのかも知れない。
またはその家なりの風土記とも言える。
その家となりを語るのにはこの家風土記という記録が欠かせない。
各立場によって引き起こされる様々な確執も受容もひっくるめて、である。
およそ、この最小の社会である家でのしがらみは
10軒あれば10の度合いも色合いも異なる“内なる出来事”で全てが構成されている。
その家々の“見えない因子”が、座敷童のように部屋の隅に丸まっている。
瑞雲庵は見事な日本家屋の従来の姿を維持しつつ、
またモダンで機能的なアレンジが施され、そのものがアートである。
太田さんはこの“かつて”の現場で、
様々に「家と生」との揺るぎなき関係を
象徴的記号としての集積や視覚から立体的に呼び起こす行為を
作品に反映させている。

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↑ミルク缶から無数にこぼれる紙片。

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↑ バイエルの楽譜を切手にしたもの。楽譜→おたまじゃくし→精子→繁殖→繁栄。
ドイツで種子を切手にしたものを紹介された時、
「Seed(種子)」が「Samen(ザーメン、精子)」と
訳されていたことに驚く。日本でいう「種違い」の種の意である。
子孫を増やす→性行為としての快感と優れた音楽を聴く官能とが結ばれる。

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↑ 刈った後の落穂をわらじにくくる。履いて歩く。籾(もみ)が散らばって種まきである。
案外たくましく道ばたで育つかも、という太田さんの楽しい空想。

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↑ 宝船が印刷された昭和47年発行の年賀切手を扇に貼る。
風を送る扇子に風を受けて進む船がこうして出会う。
宝船も末広がりの扇子も「一家繁栄」の縁起物。

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↑ 金魚の下には砂の切手。バーチャル金魚鉢。

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↑ 目で味わう観賞用ティーセット。豆の切手で召し上がる。

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↑ 電話料金、保険、年金などに見られる,
中身が透けて個人情報が見えるのを防ぐ為の細かな模様が印刷されている封筒。
これをランプシェードにする。点けるとわかる各社や法人のロゴマーク。

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↑ 部屋中にたれさがる輪飾りは全て太田さんの元に来た
スパムメールのアドレスをプリントしたもの。
内容はといえば大半が出会い系、ED治療薬、男性器増大薬、媚薬など
性的欲望にダイレクトに訴える、言うなればとても人間臭いもの。
輪飾りに桜の切手をからませる。
「震災後、花見などの自粛ムードが気になった」と太田さん。
何が起ころうが関係なしに迷惑メールはこうして淡々と送り続けられる、
まるで自動的に…
「悲しみの中でも新しい命を受けて前へ進むことも大事」(太田さん)

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↑ 20年以上作り続けている種子切手「Seed Project」の中の
2008年に京都御苑で採取したクロマツの種子切手を
シャーレに入れて床の間に。
掛け軸の代わりに松ぼっくりのアロハを吊るす。

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↑ 虫かごから出ているのはカラスムギの種子。遠目に見るとまるで虫である。
しかも昆虫の後足に見える2本の長いノギ
(穂から落ちると乾湿運動によってなんと種子が前進する!)
によって展示しているうちにカゴからかなり移動している。驚き。

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↑ 敷地奥の蔵の床。
太田さんはなにぶん、物が捨てられない性分。
ここには貰った手紙、ハガキ、預金通帳、給料明細、雑誌などの
あらゆる紙片を切手状にしたものが敷き詰めてある。
家にとっての記憶と情報の保管場所ともいえる蔵に展示。なるほど…

以上、見聞記は会期を大幅に過ぎてしまいました。
それだけに考えさせる展示でした。
facebookにもコメントしましたが、
お会いし、お話させていただいた太田さんのくりっとした目の
きれいなことに驚き、感激しました。
ありがとうございました。




















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