跡形に見える風景…「 陶 かのうたかお 展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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5月9日→5月15日【 ぎゃらりい西利 】

どこかの遺跡から、出土した土器の破片を拾い集めて
復元したかのような作品。
さて、いきなりこのような陶芸作品を目にすると
ややもすると天地がひっくり返ったかのような
なんというか、自分の抱いていた陶芸観が
見事に崩れ落ちるような気がしませんか。
シッタカが初めてかのうさんの“このような”作品に出会ったのは
まだほんの1年半ほど前のこと。
シッタカは額面通り、陶芸についても全くの門外漢で
ただ見た通りを書くしかありません。
美しいとか、繊細であるとか、技術的に優れたものであるとか
奇抜な造形であるとかは
各作家なりのバックボーンがあってのことで
彼らは常に次の企みを心の奥底でふつふつと燃やしています。
そこに得も言われぬ面白さを感じるのです。



かのうさんの作品に感じるのは「陶芸が作った風景」でした。
その姿を見た時の驚きは、
やがて勝手に自分の世界になぞらえる楽しみへと変わります。
かのうさんを語る文言に出会うたびに
海外青年協力隊員として西アフリカはニジェールで
現地の人々に作陶を指導されていたことが注目されます。
それともうひとつ、生家は百年続く京焼窯元であるということ。
そしてこの作品たち。
このそれぞれの隙間を埋めているのは確固たる生身の土でしょう。
ニジェールの土、京焼の土、かのうさんの土という
土の普遍とも言うべき造形される前の共通原理である
“化け方”ではないでしょうか。
原初的な造形であったり、
穏やかな華やかを身にまとった料理のための器であったり、
陶芸の概念を裏返したシュールなオブジェであったり、
かのうさんのプロフィールがそのまま
それぞれのフィールドを縦横無尽に駆け巡る四駆のようで
実に頼もしいのです。
激陶者集団「へうげ十作」のかのうさんですが、
この作品に込めた思いは「砂」です。
かのうさんに関する文言の中にもうひとつなるほどと思ったものがありました。
「アフリカの乾いた土に触れたかのうは、人間の力や業が及ばぬ“風化”の美を
強く意識している…」
かのうさん自らのコメントには
「本来、移ろい続け、形としてとどまる事が無く、立体として
立ち上がる事の無い砂。その砂が固まり、造形物として目の前に現れる
不思議さ、奇妙さ、美しさを見せたい」

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これらの一見、壺に見える造形こそが作家の目論みです。
陶芸、あるいは焼物と称したものは人々のイマジネーションの中では
「器的、壺的なるもの」として認識されています。
かのうさんは、ならばいっそ形を“壺状”にしてしまえと考えたわけです。
しかしこれは壺でも器でもありません。
外見は壺のなごりを押しとどめたものであっても
立ち上がった砂がそのような形を借りた
オブジェと言ってよいでしょう。
これらの素材はシャルモットと呼ばれる耐火レンガの粉末と
長石を混ぜたもので、
どこまでいってもシャルモットは焼けません。
生の粘土に混ぜて収縮率を抑えるために使います。
この焼けない素材と焼ける素材との性質を利用して
この偶然の産物のような造形を(全くできるまで予想できない)
表出させたのです。
焼けずに崩れ落ちた肌面はまるで洞窟のテクスチャのようで
シッタカはいつも隙間の向こうから小さな旅人がひょっこり
出てくるような錯覚を楽しみます。
全く意図しなかった使い方を素材に求めた、いや
利用した手腕とアイデアが成せるものです。
「これは陶芸か否か」という提示でもあると、かのうさん。
詰まるところ、陶造形は定義なんていうものを
軽く凌駕してしまうのではないか、ということですね。
ちょっと“今時の”日本画にも通じます。

この夏は「TANADAピースギャラリー」というところで
かのうさんの展覧会が予定されています。
これはとても楽しみです。



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5月9日→5月15日【 ぎゃらりい西利 】どこかの遺跡から、出土した土器の破片を拾い集めて復元したかのような作品。さて、いきなりこのような陶芸作品を目にするとややもすると天地が
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