月夜に魔が差すM氏…「 Beast Attacks!! 2 − over drive − 松本 央 」

Category : 現代美術シッタカぶり
7月10日→8月31日【 BAMI gallery 】

長かった夏休みももうすぐ終りますよ、みなさん。
さて、みなさんとは誰か…夏休みのある人全員、ってことにしときます。
嫌なヤツですか、シッタカは……フム、確かに…そんなこと考えていたら、
松本さんの個展がいよいよ最終週になってしまいました。
松本さんは知る人ぞ知る「自画像画家」…ではありませぬ、が
そう勘違いするほど毎日毎日、自分の顔ばかり描いています。
まるでエクササイズのように。
何回か個展を拝見しましたが、自分を見つめることは
決して愉快なこととは言えないでしょう、シッタカが想像する限りにおいて、ですが。
別段、松本さんはご自分が大好きでしょうがない人でもないし、
自分しか描けない人でもありません、多分。
多分、としたのはそれは松本さんの中ではおそらく瑣末なことだからです。
問題は反復されるその行為の中にこそ松本さんの真意や真理が
あるんじゃないかと思うからです。
松本さんという名称を与えられた細胞の塊と向かい合い、
(それから逃れることは死ぬまでできないのですから)
淡々と粛々と“鏡面としての自分”を描きとる作業は
それ自体がもはや鍛錬以外の何物でもないという、
松本さんならではの確信に満ちた行為なわけです、あくまで想像ですけれど。
今、かつての個展の見聞記を見返してみると
シッタカの松本さんへの感じ方にも微妙な変化が表れていて面白い。

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「ビーストアタック!」と銘打った個展の2回目。
松本さんはここのところ、さらに魔が差してきてうれしい。
なんせ「オーバードライブ」だ。
でもヒール的なキャラクターを自らに投影し、
さらに“入れ子自画像”を描いてみせる松本さんは
ご自身の想定内でしか対象を歪曲できないのではないか。
この場合の対象とはもちろん松本さんその人である。
松本さんが松本さんを“超える”ことは決してできない。
例えば犯罪者が首から番号札をぶら下げて撮られる例の写真は
ふてぶてしさと開き直りと不穏さが入り交じった相当に複雑な面相であり、
それはとりもなおさず、犯罪を犯した者の持つエレジーを滲ませた、
正真正銘の顔である。事実の力というか…
ここに松本さんの悩ましさも伺えるのだ。
“静かに、ひたひたと過熱する”凄みというものほど怖いものはない。
いわば「ピカレスクの美」である。
「獣の匂い」を放つ、或る種の毒を秘めた人間である。
松本さんは人間の持つ獣性を拡大化して、自らに投影し、
その反射光を支持体に描き表している。
問題は光の種類である。
光線でもLEDでもなく、ロウソクの揺らめく光に当たって欲しい。
身勝手なファンはそんなあらぬ思いを寄せたりもする。
激しく膨らんだ風船は破裂を期待される。
それよりも少しずつでもいいから、変容する過程を描いてみてもいいのではないか、などと…

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この展示に一つ意外な作品がある。
自画像“的”な従来のモチーフから一転、
不穏な色を漂わせる空のもとに浮かび上がる摩天楼を描いたものだが、
聞けば、かなり難しかったと言う。
表情を描く画力、筆力のナイフを松本さんはすでに持っている。
ハンパ無くこの人は巧いのだ。
「日々自画像を描き続けるある馬鹿作家」を自称する松本さんのナイフは
いつも研ぎ、磨かれている。
その巧い人が難しいというのは“無機”を描く難しさであろう。
その“モノ”自体に表情を持たない対象は、精緻か、大胆か、いずれにしても
「あるべき状況」を正確に伝えるパーツとならねばならない。
あとは鑑賞者がイマジネーションを働かせて、
自分なりの作品に仕上げてしまうだけの話だ。
でもこの作品が今後の方向性をそれとなく示唆するものであったら
とても興味深い。

今回の作品の中で一番好きなのは、ほぼ正方形の画面に
新しく現れた金髪の松本さんである。

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それは想定外の自分を描く仕事よりも、ずっと正直に見えるからである。
そこには微量の哀しみが染み込んでいる。
画面から、その小さじ程度のエッセンスを感じ取れるのは
やはりその絵が優れて魅力的であり、押し付けがましさが無いという証拠でもある。

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CIMG8178.jpg

松本さん、ごめんなさい…シッタカぶりの二乗ですな、今回は。
我ながら勝手なヤツと思います。ご容赦くださいませ。



松本さんの過去ログは↓
http://den393.blog81.fc2.com/blog-date-201007-22.html
http://den393.blog81.fc2.com/blog-entry-366.html
http://den393.blog81.fc2.com/blog-entry-643.html




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