「 NEVER WEDDING STORY 」劇研アクターズラボ+ルドルフ 絶対、大丈夫か 第1回公演

Category : パフォーマンス見聞
ラボ+ルドルフ

脚本・演出:筒井加寿子
原作:ゴーゴリ「結婚」
出演:劇研アクターズラボ+ルドルフ「絶対、大丈夫か」

筒井さんはご自身がコメディ好きであることと、
演劇初心者にも楽しんでもらいたいこと、
俳優としてやることが一番難しいのが喜劇であること、から
第1回目の公演を「ドタバタ喜劇」とした。
「ドタバタ喜劇と言うからには…」という観客の“心構え”に正面切って向き合うのは
相当なストレスを抱えるだろうと思う。
舞台は内容がシリアスであれ、コメディであれ “瞬間を決める静謐な緊張” が
重要であり(言い換えれば「間」であるが)その糸が切れると途端に、見事に破綻する。
関係性を明確にして尚、話を端的に理解させ、その上に登場人物の“機微”を
それぞれのキャラクターがそれぞれに演じられる「場」を作り上げるのは
最終的には役者たち次第なのだから、当事者の拙さはそのまま作品を貶めてしまう。
僕がその事を痛感して止まないのは、
かつて劇研アクターズラボに1年間だけ関わった経験から遅ればせながら学んだからだ。
これはそのまま、演劇というキーワードについて回るトラウマのようなもので、
しかし不思議なことに、さらに演劇が好きになっていくのだから、困ったものだ。
劇研の控え室に漏れ聞こえる開場待ちの観客のざわめきが
「今、自分は人様の前であられもない姿でとんでもないことをするのだ」という実感が
時間を追うと共に負の領域に入ってくる。(これは僕だけだろうが…)
果たして筒井さんの口からコメディであることを告げられた団員たちの心境や如何に…。

それにしても10月頃からの稽古で、よくこれだけの舞台に仕上げたものだと感心する。
セリフの多さ、長さもさることながら先の「間」の重要性が
喜劇にとっていかに大切かということが(言うまでもなく)ひしひしと認識される。
極端に設定された登場人物が、極端に“それ”を押し出すと観る側はすっと引いてしまう。
それはすでに観客の中で人物像を想定する作業が始まるからで、
(烏丸ストロークロックの柳沼さんが言っていたように、
観客は生理的に演じる側の先を読もうとする)
そのギャップがどんどん広がると、取り返す術はもう、ない。
ここに登場する9人は確かに極端な個性を持つ人たちなのだが、
学生演劇にあるような「想像を越えた」キワものたちではなく、
結構誰にも少しずつある“憎めない偏向”をフトコロに抱え込んだ人たちだ。
その偏向度が摩擦熱を帯びて舞台は徐々に熱くなっていく。

(掴みは大成功な!)カワイイんだけどちょっと指向性が微妙な
パペットアニメに夢中な、かなりサバ読んだ感満載の、フシギちゃんに
どんくさい優柔不断な(と思われている)30男が見合いをする。
ところが現場にはすでに3人のとてもワケアリな“ガラクタ”が居て、
さて、この結婚大前提変則的合コンはいかなる結末を迎えるか…というお話。
この脚本の面白さは、やはり筒井さんのコメディ志向の賜物という他ない。
なんというか、寸止めなのだ。
30男の野呂間(のろま)さん(登場人物の名前のベタさ加減も最初は、ん?と思ったが
印象づける手段としては有りだったのかも)もこれ以上“グネグネ”すると、
食傷気味になるけれど、セーフな寸止め。
アガリ症のかっちんかっちんな七三男(なんだかサンダーバードのキャラっぽい)にしても、
病気のデパートのような、高校生の息子とやってきたおじさん
(この方、田中遊さんのラボにも居らして、劇研ラボ歴5年!)にしても、
50代に入って尚、枯れたオタク道を静かに突き進むオヤジにしても、
それぞれがギリギリのところで止めている。
「変態」が「哀愁」を手にするのはかなり難しい。
言ってみれば、この哀愁がシンパシーの波を起こす。

歌あり、ダンスあり、パペットあり、てんこもりのコメディ。
英断。この言葉に尽きる。そう、演出家のです。
笑ってもらうためにどんどん演ずる側がストイックになる。
これって稽古の時にどんななんでしょうか。
これのどこがオモロいんか…って、
役者さんは一瞬、笑いに対してモラトリアムになるんじゃないか、とか考えてしまう。
きっちり2時間。台本の厚さも相当なものだったろう。

ともあれ、皆様お疲れさまでした。
最初はドキドキしながらでしたが、やっぱり皆さんスゴい。
2回目もしっかり楽しませていただきます。

スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

58カ国語に翻訳
English
お越しいただきありがとうございます

den

………………………………………
アート・ドキュメント・ブック・
ミュージック・演劇・ダンス・
朗読・時事・ひがみ・そねみ・
やっかみ・おせっかい…
などなどシッタカぶって書きちらかしては
自己嫌悪な日々をゆらゆらと
過ごしております。
「シッタカブリアンの午睡」
「デラシネ光合成」をこのたび一本化。
言いたがり、やりたがり、ノリたがりな
のんのんとしたブログにお越しいただき
ありがとうございます。
………………………………………

ここから、また…
最近の書き散らかし…
こんなこと書いてます
こちらへもどうぞ!