「 シャウレイの十字架 」冨士山アネット

Category : パフォーマンス見聞
作/演出/振付:長谷川 寧
2013.2.14 → 2/17【横浜 のげシャーレ】
2013.2.21 → 2/24【京都 アトリエ劇研】

何かとバタバタしていてアップがかなり遅くなってしまいました。
最近、これほど楽しみにしていたパフォーマンスも無かったなぁとしみじみと感じ入っています。
以前、長谷川さんのワークショップを受け、お代をしっかり頂いて公演をしたことを
昨日のように思い出します。とても濃密な時間を過ごせたと思っています。
その時、初めて接する長谷川さんはなんだかちょっと近寄り難い
ピリッとしたコワさを放っていて、それは今でもあまり変わらないかも知れません。
当時、アトリエ劇研という小劇場にある「モノ」を使って、
というよりもモノしか使わずに、恐ろしいほどに豊かで(ああ、陳腐な表現で申し訳ない)
興奮するステージを瞬時に組み立てていく長谷川さんを見ていて
おそらくそこに居た僕を含めた11人のメンバーや裏方さんも唖然としたことでしょう。

先日の伊丹アイホールの公演「八(eight)」も素晴らしかったけれど、
今回は初の男性キャストのみの公演です。
長谷川さんは、作品はどう解釈してもらっても構わないということをよく言われます。
もしかしたら僕の一番好きな部分はここかも知れません。
緻密な設定で蠢き、飛び、散り、走る彼らを動かしている長谷川さんには
勿論、表現者としてのこだわりや意図が厳然とそこにあるはずなのに、
発表する時は決まって、見るひとが自由に見てくれたらいいと言うのです。
冨士山アネットは「ダンス的演劇」〜テアタータンツという手法で
独自の活動を行っています。
これはテキスト、つまり台本があって、出演者は読み合わせも行い、
ダメ出しもありで、少しずつ言葉をなくして、なんというか
言葉の重量の分を身体的な動きに転化させ、最後にはダンスに昇華していくというのかな、
そんなフシギで繊細な舞台を作り続けています。
長谷川さんは元々俳優出身で、演劇とダンスのどちら側にか偏る見解をしない
両方にない、あるいは両方にも在る部分を抽出しているような気がするのです。
今回はそういった方法をあえてとらずにメンバーのアイデアで
動きを作り出したようです。

一つの部屋に5人の男。
確かにむさ苦しい空間であるはずなのですが、どこかに静謐な空気を感じるのは
彼らの肉体同士のテンションのかかり具合が美しいからです。
長谷川さんのならではのセンスがここでも、いかんなく発揮されています。
やがてむくむくと動き出す彼らが、今、自分がどういう立場でいるのかを再確認し、
互いに牽制しあい、また抑止し、ある時は協調し、反目し、
現場にある(設定された)モノと絡んでいきます。
アフタートークで長谷川さんの言った「いかにモノを踊らせるか」という一言に
このパフォーマンスは尽きると思います。
モノの使い方、モノとヒトの動きとの連結したイマジネーションは
やがて徐々に高みに登っていき、一瞬カタチ(完成形または目的形)が現れて崩壊していく。
単にスリリングというのだけではない、
長谷川さんの饒舌な企みに見事に乗せられてしまうのです。
舞台にある全ての物体、ガラクタはすべからず肉体と繋がっている。
コミカルなシーンもふんだんにあり、
このようなダンスパフォーマンスにありがちなストイックな表現だけでもなく、
また俗物的になり過ぎもせず、それでいて或る一つのカタチ(シルエット)としての
品格を維持しています。

軋轢、抑止、鬱積、疑心、協調、破綻、またアミニズム…
などなど……様々に連想して、勝手に話を作っておみやげにできる、
そんな上質な時間を経験できたと思います。
最初に会場を見た時の設定にはやはり感服しました。
決して広くもない劇場に、パースがかった照明の輪郭を浮き立たせ、
電話の音、ビデオの画像、影絵などの効果を十分に反映させ、
硬質なモノと柔和な肉体のコラボレーションを
美しく、そして(ここがいいのですが)決して難しく(もっと言えば小難しく)
見せない手腕はやはり喝采ものです。

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