「 マツムラアヤコ 個展 〜 try it on 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2013.4.30 → 5.5【 KUNST ARZT 】

テキスタイルアートは僕にとっては、むしろ工芸的な側面、要素を基本に据えて
そこからの発展形で表層のイメージをつくりあげるという印象が強いのです。
つまり正統なスタイルとでもいいましょうか。
でも現代美術に正統もへったくれもあるかい、というのもなるほどと頷けますから、
そこでファイバーアートの名前で出ています、っていうことになる。
タペストリーに代表されるものです。
これだって勿論工芸的な手はずを踏んで職人技が大きく反映するものもあれば、
壁に掛けられるものだったのが、やがて大きな塊になったり、
うねうねとしたバカでかいオブジェになったりするのですが、
ここにまたソフトスカルプチャーなる名前も出て来たりする。
結局、いまだにテキスタイルアートというのがよくわかってなかったりします。
卒展などを見てまわっても、ただただ奇麗であること、見た目に美しいこと
華やかであることにとらわれ過ぎて、結局こじつけたようなテーマで
お茶を濁す作品も少なくないと思っています。
それによって、どうしてもテキスタイル部門の部屋には
どことなくパワーが足りないような印象がいまだにあります。
僕なんかは素材はなんであれ、平面と立体に分けてしまい、
テキスタイルも立体であれば全て彫刻として
カテゴライズしてもいいんじゃないかな、などとと思ってしまいます。

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それはともかく…
久々におもしろい作品に出会えました。
こうしてギャラリーにぶらさげられた作品たちは
すでにつるんと脱皮したあとの抜け殻みたいですが、
きちんと見るとなんとも手が込んでいます。
つまり先の話ではないのですが、これがテキスタイルの強みでもあるんですね。
例えば生地に描くとか、写真をプリントするとか、ではなしに、
織るという手法そのものがこの作品から、
正面から見据えることができるほどの力を感じ取るわけです。
織り込まれたテクスチャーは絵でも写真でもかなわないほどに強力です。
これはつづれ織りと呼ばれる織り方で、
人体の立体的な効果や陰影なども専門的な技術で
巧みに織り込んであります。
久々におもしろいと思えたのは、
一つの提示を確実に観客にもたらしているからです。
作品を何かの象徴として、作者のイデオロギー、
それは政治的でもば宗教でも日頃のうっぷんでもなんでもいいですが、
その表現結果を漫然と見せる(展示する)だけではなく、
見に纏(まと)うという行為にとてつもないおもしろさ、というか
可能性を見てしまいます。
作品を着るということは、すでにオブジェクトではなく、
環境の一部であり、生活具の一種であることを示唆します。
作家は友人たちと共にアーケードの繁華街をただひたすらに往復します。
その様子が無編集で流され続けています。
何人かなのでそう頻繁に画面に映ることはないのですが、
この映像を見ていると「人にとって服とは何か」を切々と考えさせられるのです。
好きな柄や色やデザインをチョイスしながら、日常「着る」ということを
意識している人々の中に、彼女たちが混じって歩いていても
さほどの違和感がないのはなぜだろう。
勿論、作家の作った服はかなり奇抜なはずなのに、
そこに「着ている理由」が醸し出されているからではないのか。
迷惑でない限り(裸であるとか)どんな服を着ようが自由です。
そこに着た人間の意志を汲み取る訓練がなされているのも事実ですが、
「いろいろなひとがいる世の中」という認識で現実は満たされているのかも知れません。
この「編み込みボディ」を着ている彼女たちとすれ違っても
滅多に振り返ったりしません。
それを成熟と見なすか、未熟とみなすかは別として、
マツムラさんがこの作品を“道具”に使えるまでに考えていたことは
今後の制作の大きなヒントが隠されているかもしれません。
僕なんかすぐ、5、6人がこれを着てダンスパフォーマンスしたり、
舞台で車座になって互いに婦人病の自慢をしている役者を連想したりして
にやにやしています。

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新京極三条下がるを行ったり来たり…
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