「 MachAtria(マッチャトリア) 」Yui Kawaguchi × Yoshimasa Ishibashi

Category : パフォーマンス見聞
マッチャトリア

2014.4.18〜4.20【 京都芸術センター講堂 】

20人の観客たちは円弧に並べられた座席指定の椅子に座り、指示を待つ。
黒服の女性二人の極めてクールな公演前注意事項説明を受けた後、
いよいよ、いそいそとナビされつつ会場へ移動。
まず3Dメガネをかけ、ヘッドフォンを装着。
やがて先のナビによってほの暗い会場で
トレイに乗った緩く点滅する「心臓」(原寸大!)が
ひとり一人に振る舞われる。
それはもてなされるゲストへの最初の社交辞令のようなもの。

屹立するダンサーが動き始めると
手に持った心臓は動きに沿って大きく、小さく、激しく拍動する。
両手の平に感じる他者の拍動。
それは視覚として捉えるダンスから、もっと進化した、
いやもっと原初的に波動をダイレクトに“受ける”、
今までに体感したことのない世界でした。

暗い部屋で手に持った心臓を見ている自分は
まるでSFの映画のワンシーンの中に居る、
それを客観的に見ている自分も居たりして、
うまく言葉が見つからないが最近これほどまでに
ゾクゾクしたことはなかったくらいに静かに興奮しました。
ヘッドフォンから聞こえるのは高純度に作り込まれた、
感覚がワープするサウンド。

「オー!マイキー」や「ミクローゼ」でおなじみの
石橋義正監督のコンセプト、演出、映像、音楽をはじめとして
ベルリンを拠点に活躍するダンサー川口ゆい、
そして各分野のエキスパートが集結した、これはうたい文句に
いつわり無しのメディアアート&パフォーマンスでした。

川口ゆいの息を飲む佇まいの美しさと
ちょっとコミカルで人を食ったようなテキストの
奇妙なバランスも、
思い返せば(終ってみれば)
高精度な舞台で体験する奇妙な緊張感の中での
弛緩的な役割も果たしていたような気がします。

本当にうまく言葉にできないもどかしさがありますが、
基本的には「お茶」の心 = おもてなしと
心房(アトリア)とを掛け合わせた造語である
「マッチャトリア」はコンセプトとしてはとても面白いものでした。
何よりも心臓の拍動(バイブレーション)を手に感じるという
未体験ゾーンへの誘いはとてもセクシーで
1回の公演が20人である限定感もさることながら
視覚、触覚、聴覚のすべてを大きく揺るがし、
“いじられ”ことに不覚にも朦朧としてしまいました。

公演の前にトーク&ワークショップには
思いのほか多くの方が参加されていました。
「心臓BOX」なる機械の体験、
他人の心臓の拍動を再生して手に受けるという体験も
初めてでした。
この機械を手にみんなでピクニックに行くという
「心臓ピクニック」という企画もあったそうで
いつしか他人の鼓動が愛おしくなる瞬間が訪れるということで
いつか体験してみたいものだと思いました。

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