「 水口 菜津子 展 〜 ガリバントラベラー 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2014.4.29〜5.4【 KUNST ARZT 】

CIMG1318.jpg

CIMG1329.jpg

何がいいといってDMがステキです。
ガリバントラベラーとしてはDMをデータ入稿するなどという
無粋なことはいたしません。
ミシン目まで入れて、しかもサイドにもミシン目が入っていて
作家自らが手で裂いている。
細かいことですが、これをするということが
そもそもの水口さんの水口さんたる所以であるなぁと思ったりしました。

さて、皆さんは果たしてガリバンというものをご存知ですか。
僕ら世代はリアルタイムでこのガリ版=謄写版というものにお世話になっています。
ガリ版で創作活動をされている方は
孔版です、と言ったりするそうですが、やはりここは潔く
「ガリバン!」といきたいところです。
ここで簡単に謄写版の説明。
原紙と呼ばれる薄くロウをひいた紙に鉄筆で文字や絵を描いて、
枠のついた謄写版に当てて、ローラーでインクをしみ込ませて、
鉄筆で削られた部分にインクが反映するという一種の版画です。
実は僕は前々からこの謄写版がかなり気になっていました。
どうせ現存するものなどとんでもない高額なマニアック向けのものしか
ないんだろうと思っていました。
ところが、やはり居るんですよね、水口さんのような方が。
今ではヤフオクにも出ていますし、普通にリーズナブルな価格で購入できるようです。

リアルタイムと申しましたが、
中学生の頃に手刷りの学級新聞が流行って
やがて個人の新聞を同学年のクラスに配るというようなところまで拡散していきました。
初めは面白半分で、やがて紙面作りに凝るようになり、
なんだか体裁が整ってきたところでネタ切れになるというようなケースが
多かったように思います。
僕は何を思ったか中1の時に「インタレスティング(!)新聞」なる
イキったネーミングのを発行して、
まぁ、当時から心密かにグラフィックデザイナーを夢見ていたものですから
それ相応に注目されていたりしてましたが、やはりネタは
自分で拾ってナンボですから、10号ほどで尽きてしまいましたね。
今では懐かしい思い出です。
鉄筆の力の入れ具合で原紙に穴が開いてしまったり、破けたりします。
これも慣れです。
インクの匂いも思い出されます。
当時はスミ一色しかなかったと思っていました。
だからこれで絵を描くなどという発想も
ましてや多色刷りなど思いもよらなかったのでしょう。
改めて水口さんの作品を見てみると、
エッチングやリトグラフのように、しゅんととりすました感じがなくて、
なんだかホッとするものばかりです。
この差は謄写版ならでは持ち味と言えるでしょう。

CIMG1324.jpg

CIMG1325.jpg

CIMG1326.jpg

作品の話よりも謄写版のことばかりアップしてしまいました。
作品は拙い写真で我慢してください。
これをアップしながら実はかなり妄想状態になっているのです。
「欲しいなぁ…」と。
こうした方々の活動でもっとガリ版が若い人たちの手に渡って
新しいアートに進化していけたら面白いと思います。

過去に「謄写版の冒険 卓上印刷器からはじまったアート」なる
展覧会もあったようです。

http://www.momaw.jp/exhibit/now/mimeograph2013.php

水口さんとお話していて、ひとつハッとしたこと。
それはこのガリ版印刷が往事の政治活動や学生運動の
アジビラ制作の重要なツールだったということ。
単なる鉄筆の「ガリガリ」と原紙を削る音からの呼称よりも
夜中に官憲の目を盗みつつ、薄暗き屋根裏部屋で
ガリガリと体制批判や決起集会のビラを作っていたと思うと、
このちっぽけな木箱が、その時代背景をも取り込んだ
重たいものに思えてきました。
伝達からアートへ。

DMにはこんな一文があります。
「明治の日本人が発明した小さな箱形の印刷器(機ではなく)と仕組みは
今を生きるものとの間に様々な対話や表現の可能性を
まるで贈り物のように届けてくれました」

CIMG1327.jpg

CIMG1328.jpg

CIMG1331_20140512100812b4c.jpg

CIMG1319_20140512100845516.jpg

↑焼物まで作っちゃいます。何でも出来る人ですねぇ。



スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

58カ国語に翻訳
English
お越しいただきありがとうございます

den

………………………………………
アート・ドキュメント・ブック・
ミュージック・演劇・ダンス・
朗読・時事・ひがみ・そねみ・
やっかみ・おせっかい…
などなどシッタカぶって書きちらかしては
自己嫌悪な日々をゆらゆらと
過ごしております。
「シッタカブリアンの午睡」
「デラシネ光合成」をこのたび一本化。
言いたがり、やりたがり、ノリたがりな
のんのんとしたブログにお越しいただき
ありがとうございます。
………………………………………

ここから、また…
最近の書き散らかし…
こんなこと書いてます
こちらへもどうぞ!